コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ☆星の子☆ ( No.35 )
- 日時: 2011/10/01 21:20
- 名前: (朱雀*@).゜. ◆Z7bFAH4/cw (ID: EZ3wiCAd)
2章 15話「運命の歯車は…」
「あのさ〜……」
家に帰って私は言いにくかったことを、思い切って光聖君に聞いてみることにした。
「ほらっ……私、見ての通り背、小さいでしょ。光聖君、術を使ってその姿になっているのなら、私の背丈をちょちょいといじってくれないかなぁ?」
私は顔を赤くして光聖君に頼んだ。
すると光聖君は目を丸くして、プッと吹き出す。
知ってるよ、バカな願いだって。
「あははははははっ!! 空、そんなことで悩んでるの? 笑える〜。」
私は光聖君の笑ってる姿を見て、心の底から腹が立った。胃の中でグツグツと何かが煮え立っている。
自分はこんなに悩んでるのに、なんてデリカシーのない男の子! これでも言うのに結構勇気が必要だったんだから!!
「悪かったわね! 故郷に帰れないことに比べたら雲泥の差もあるちっぽけなことに悩んでて!」
光聖君は「ごめんごめん」と涙をふきながら謝って、急に暗い表情で言った。
「でも、術は残念ながら教えられない。術といっても変化の術しかできないんだけれど……僕以外はこの術を習得できないらしい。」
「光聖君の仲間も?」
空は驚いてさっきまで怒っていたことも忘れ、聞き返した。
「僕の仲間もだ。まあ、教える必要なかったんだけど。だって故郷に無事帰れない、僕みたいな子にぴったりの術だから。仲間はどっちみち、使わないのさ。」
「……100年間、大変だったろうね。」
私は声に哀れみを滲ませて言った。世の中、いい人ばかりじゃないんだし。
「勿論大変だったさ。空みたいにいい人もいれば、気味悪がっておっぽりだした奴もいたし、研究のため閉じ込めた奴も……まぁ、当然逃げ出したんだけど。」
そして、私の目をひたと見据え、光聖君は続けた。
「でも、ここは大丈夫だってわかってた。この家を見た瞬間に僕の目の前に浮かんだのは、空のお父さんと過ごした日々だから。」
—————————運命の歯車はもう、動き出している—————————