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Re: ☆星の子☆    85話更新! ( No.441 )
日時: 2011/10/16 16:33
名前: (朱雀*@).゜. ◆Z7bFAH4/cw (ID: EZ3wiCAd)
参照: http://ameblo.jp/suzaku-runa/

——政府塔——

 私は何度も同じ道を繰り返し歩いていた。十m歩いては踵を返し、また十m歩く。もう何周目だろうか。
 ついには怒りが頂点まで達する勢いであった。私は腕を組んで人差し指を小刻みに動かす。
 遅いわね……
 と、私の足音だけが響いていた空間に、キンキンした女の声が割って入る。

「もう少し静かに待ってられないの? 足音が耳障りだわ。」
「煩いわね。私だってあんたの声が耳障りなのよ。」

 ツインテールの女は鼻を鳴らしてそっぽを向いた。黒がモチーフのやたらと派手な服装——ゴシックロリータと言うらしい——を着て、うさぎのぬいぐるみを抱きかかえている。そんなんで男を釣るつもり?

「お二人とも、喧嘩はやめてくださいよぉ? 壁の修復をするのは他でもない、この私なのですか」
「知ってるわよ。その台詞は聞き飽きた。」

 と、長身のひょろりとした男が気持ち悪い口調で話す。白衣に眼鏡をかけているその男は、いわば科学者だ。
 男の言葉を先程の女が遮った。どっかりと傍のソファーに腰を下ろし、「お茶」と一言命じる。
 その言葉を聞いて黒いスーツ身に纏った男が手にティーカップを持って現れた。一見執事のように見えるその男は、見た目だけはなかなかいけている。勿論、見た目だけね。
 男が差し出したカップを手に取って女は「ありがと」と簡潔に言う。
 その光景はどこかの国のお姫様と執事みたいだった。言うまでなく、見た目だけだけど。

「俺をこんな風に使うのはやめてくれないか。」
「あら、良いじゃない。あんたが一番執事に近いんだもの。」
「その発想もそろそろやめた方が良いぞ。」
「あっそ。」

 それだけ言うと女は紅茶を啜った。
 勿論片時もうさぎを離そうとはしない。汚れても知らないわよ。
 と、突如静かに扉の前で座っていた黒い犬が三匹、一斉に吠え始めた。私たちの目が扉に注がれる。
 最近ではこれが一つの合図となっていた。
 私は一つ息を吐く。

「やっと来たわね。」

 扉が開いた。
 暗かった部屋に一筋の光が差す。
 先ほどより勢いよく鳴き始める三匹の犬を、入ってきた人物が手を出し制した。

「シャドー」
 
 その瞬間ピタッと犬は鳴き止む。
 この後の台詞はもう決まっている。
 私達は身を乗り出し、一言聞いた。

「で、新しい情報は?」