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Re: ☆星の子☆ ( No.52 )
日時: 2011/10/18 20:44
名前: (朱雀*@).゜. ◆Z7bFAH4/cw (ID: EZ3wiCAd)

3章     21話「お父さんの話3」


「ゆ、友人……?」

 急な展開に驚いた私の質問に対し光聖君は頷いて、言葉を選びながらゆっくりと語った。

「輝さんが最後に家を出て行った時の行き先、静岡だったよね。仕事の都合で、静岡に3か月。……ちょうど1カ月くらいたったある日、輝さんの借りている小さいマンションの部屋に、僕が飛び込んできたんだ。その日はホント、不思議だったなぁ……。輝さんってば僕が入ってきても全然驚かないんだもん。話もすんなり受け入れてくれて、ビックリしたよ。今の今までこんなこと無かったから。」
「光聖君はその時から迷子の星クズだったの?」
「うん、100年くらい前からだからね。4日前みたいに流星群で、さ。」

 光聖君は侵害した様子もなく軽く言った。
 お父さんも光聖君と会ったんだ……。だから、光聖君は私を警戒しないんだ。

「……空、ショックを受けないでよ。一緒に暮らしてきて、うち解けてきてようやくわかったんだけど、……空のお父さん(輝さん)は人間じゃない。僕と同じ……はぐれ星クズなんだ。」

 一瞬、光聖君の言ったことが理解できなかった。目の前が瞬間真っ白になる。
 お父さんは人間じゃない? 光聖君と同様、迷子の星クズだなんて……そんなの信じられない。
 私は話す気力さえ失ってしまった。もう今日はいろいろありすぎて頭がついていかない。もともと頭いい方じゃないんだから……。

「輝さんは仕事が落ち着いて休みの日、僕を鍛えてくれた。輝さんは変身術が出来てね……変身術をコントロールするコツを教えてくれたんだ。その頃は幼い姿でずっといた。けれど年齢を時と状況に応じて使い分けた方がいいと学んだんだ。
 楽しかったよ、一緒に変身するのは。僕が自由自在に術を操れるようになると、鳥になって一緒に空を飛んだりお互い姿を反対にして…つまり僕が輝さん、輝さんが僕になったりして遊んだよ。」

 光聖君は微笑みを浮かべながら語る。
 しかし、急に言葉を切って少し話すのに躊躇いの表情をちらつかせ、目を伏せながら話した。

「……そして、輝さんの仕事が終わって2連休の休みをもらった時、富士山のてっぺんまで鷲になって飛ぶことにしたんだ。冷たい風が何故か心地よいっていうか……あの快感は忘れないよ。」

 光聖君はもう一回一息ついた。私はすっかり話に夢中になってしまった。
 一息ついたのにはなにか理由があるんだな……。
 私はそう感じ取っていた。多分これから光聖君が話すことが、一番重要で私が一番知らなければならない話なのだろう。