コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ☆星の子☆ ( No.56 )
- 日時: 2011/10/18 20:49
- 名前: (朱雀*@).゜. ◆Z7bFAH4/cw (ID: EZ3wiCAd)
3章 22話「お父さんの話4」
「その日僕らはテントを張って白クマになって寝た。次の朝は富士山のてっぺんまで行く予定だったんだ。とても楽しかった。……でも輝さんの様子がおかしかった。せっかく二人で富士山に来たって言うのにそわそわしてて落着きがなくてさ。
夜、輝さんが言ったんだ。僕の正体を知っているって……僕らがなぜ燃え死ねないのか、知っているって言うんだ。でも……≪その答えを明かすのは空だ。≫そう言って、僕がまだいろいろ聞きたいのに寝ちゃったんだ。いや、寝たふりをしたっていうのかな。
そして、夜が明けた。でも……目が覚めたら輝さんがいないんだ。ビックリしたよ。パニックにおちいっちゃって……。でもよく考えたらバックも置きっぱなしだし、ちょっとした散歩にでも行ったのかなって。でも……」
光聖君が目を伏せた。
次に何を言うか私はなんとなく想像がついた。
お父さんは自分の正体を解き明かし……そして……
「消えた。僕に『さよなら』も言わずに。急に輝さんのオーラが消えたんだ。どこに行ったのかはわからない。故郷に帰ったのかもしれないし……。」
私は口を大きく開けて目を見開いた。確かに予想はできた答えだったけれど、まさか、本当にそんなこと言うなんて信じられなかったのだ。
そして……
≪その答えを明かすのは空だ。≫
そのお父さんの言葉が脳からこびりついて離れない。私がなぞを解く……?
そんなの十中十無理よ。
私は考えるのが嫌になって光聖君に礼だけ伝える。
「光聖君、話すのもつらいのに教えてくれてありがとう。でもお父さんは≪私が答えを明かす≫って言ったらしいけど、期待なんてしないで。私はただのティーンエイジャーだから。」
光聖君の顔色がさっと青くなった。追い出されると思ってるんだろう。
「私たちはただの友人よ。」
私はそう切り捨てて、さっさと部屋を出て行った。