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Re: ☆星の子☆ ( No.64 )
日時: 2011/10/27 20:31
名前: (朱雀*@).゜. ◆Z7bFAH4/cw (ID: 3edphfcO)

4章     25話「なっちゃん」


 ……え?
 私は驚いて声も出なかった。今の話からどこをどうしたら、こんな状況になるの!!?

(ちょ、ちょ、ちょっと待ってよ。だってなっちゃんと私、仲良くなってから3日もないじゃん。なんでそんな話私にするの? てか、何を望んで言ってんの?)

 言葉も出ない、とはまさにこういうことだ。
 その気まずい沈黙を変えるべく、楓が言葉を継いだ。私とは反対に目をキラキラ輝かせて喋る。
 ……かなり楽しそう。

「うそ〜! なっちゃんは光聖君派なの? やっぱりコハク色の髪に魅了されちゃったって感じ? ……うん、わかるよ〜。私も会うたびドキッとするもん。もちろん協力するよ。空もするよねっ?」

 喋りだしたら止まらない癖は直した方が良いと思う。
 私は声に出さずに呟いた。無意識のうちに溜息が零れる。
 なっちゃんが返事をするがしまいがお構いなしに、喋りっぱなしなのだから。最後には私に話題降ってくるし。
 協力する、ねぇ……。まぁ、そりゃあ私が協力したら力になるんだろうな。何せ一緒に同居してるし、部活も一緒だしね。
 そういう理由で私と仲を深めるべく近づいてきた子も何人かいる。
 私は何故だか無性に寂しくなった。

——じゃあ、私も交換条件出そうかな。——

「いいよ、協力してあげる。」

 私の眼には、ほっと安堵の表情を浮かべるなっちゃんが映った。と、同時に唇の隅をあげてニヤッとほくそ笑む表情も。
 ……なんだろう?
 私は首を斜めへ傾け、言う。

「その代わりさ、やって欲しいことあるんだ。いわば交換条件ってやつかな?」

 さっと血の気が失せていく彼女を見て、私は顔の前で大きく手を振って拒否した。
 そんなに悪いことを言おうなどは毛頭ない。

「誤解しないで。ただ、女子に、特に光聖君ファンの子たちに『空は光聖君のこと少しも気にかけてないし、むしろ佐藤君の方が好みなんだよ〜。』って伝えといて欲しいの。」

 この言葉を聞き身を乗り出して詳しく事情を聞こうとする楓を手で制し、
「私、女子の目の敵にされてるっぽいし、かといって自分で言いに行く訳にもいかないからお願い! なっちゃんなら女子にも顔が利くし……」
と、訳をちゃんと説明した。

「あぁ、そんなこと。別にいいよ。協力してくれるんなら何でもするし!」

 ニッと歯を見せて頼れる言葉を言い残し、なっちゃんは席に着いた。もうすぐでチャイムのなる時間だからだ。

「なっちゃんっていい子だよね〜」

 楓が唐突にそう言ってニッコリ笑ったから、私は言いかけた言葉を飲み込んだ。
 「そうだね」と相槌をうって、さっき瞬間見た意地悪い笑みを思い出す。

————なっちゃんってどんな子なんだろう?————