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Re: ☆星の子☆ ( No.72 )
日時: 2011/11/20 12:04
名前: (朱雀*@).゜. ◆Z7bFAH4/cw (ID: MMm5P7cR)

4章     30話「ウインク」


 意外にも佐藤君は快くOKしてくれた。
 明日はサッカーの試合は無いらしい。良かったのか、悪かったのか……。
 それよりも胸にナイフが突き刺さるような感覚に襲われる、女子の視線。これは何よりも痛かった。
 でもみんな何も言わない。
 それはクラスの一大勢力のなっちゃんと、誰に対してもきちんとものを言う楓が私の背中に付いているため。
 それに光聖君なら私の方が皆より有利な位置にいるけど、佐藤君なのだから皆条件は同じなのだ。
 とにかく女子の皆さんは、至って平凡な私に対してデートを了承した佐藤君が気に食わないらしい。

「じゃあ予定合わせたら、佐藤君に伝えるね。」

 そう言ってなっちゃんは何事もなかったのかの様に悠々と、元いた場所へ戻った。
 それにつられて楓を始め、見物客のみんなが喋り始めたり食事を再開したので私はホッと胸をなでおろす。
 そんな私は熟したリンゴのように顔を真っ赤にし、楓の後ろをついて行った。
 私には何となくなっちゃんが佐藤君を誘う気がしてたので、それほど驚かなかった。でも……佐藤君と私って……。

 悶悶と考えながら席に着いた空は楓を見て、さっと血の気がうせた。

(そうだ!! 楓は佐藤君が好きだったんだ……。でも日曜は楓、スイミングだし……)

 そんな私の視線を感じてからか、楓は「別にどうってことない」と言った。

「日曜はスイミングだからどうせ行けないし、それに思い出したけど、空って恋愛に興味無いじゃん。」

 そう、私は恋愛に興味無い。でも……
 じゃあ光聖君にドキドキしたのはなぜ? 手首をつかまれただけで息ができなくなるほど胸が苦しくなったじゃん。それはどうして?

「だから一緒に映画見に行ったくらいで恋は芽生えないかな〜って。それに……」

 楓はそこで言葉を切って、私を連れてそそくさとなっちゃんが聞こえない場所へ移動した。
 そして小声で……。

「空、あんたなんだかんだ言って、佐藤君よりも光聖君の方が気になってるんでしょ。親友の楓さまにはぜ〜んぶお見通しよ。」

 楓は私に向かってちょこんとウインクし、くすくす忍び笑いしながら歩いて行った。