コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 何かこの動物、喋っちゃってるんですが。 ( No.10 )
- 日時: 2010/07/25 18:40
- 名前: クレイア ◆PT5MXLpFOU (ID: CkThpPJM)
「俺のダチにさ、好きな奴がいるんだってよ」
アズキがいつもと同じように煮干しをかじりながらそんな事を言ってきた。
会話その2「何かこの猫、喋っちゃってるんですが。part2 前編」
「はいっ! アズキ先生質問です!」
「うむ。鈴木恵理」
アズキは私を指名するように長い尻尾をピンと伸ばし、私に向けてくる。
「そのダチは猫ですかっ?」
「ああ。猫だぜ」
猫さんの恋……。猫さんもするのね恋を!ロマチック!
「帰ってこいアホ恵理」
「ぐぇふっ!!」
み、右前脚で脇腹……。きっついぜアズキさんよう……。
「それでな、そいつの好きな奴ってのが……」
真剣な顔になるアズキ。私は思わず生唾を飲み込んだ。
「人間の女の子らしいぜ」
「…………うそん」
私とアズキは今、アズキの友達の「リオ」君を探していた。
『リオー? リーオー?』
「何処にいるとか見当つかないの?」
「いつもは此処の神社付近にいるんだけどな……。」『リオー!』
一層アズキが声を張り上げて呼ぶ、アズキが「リオー!」って呼んでる時は猫語だからにゃーとしか聞こえないんだけど。
可愛いから許すけど。
その時、すぐ近くの茂みがガサガサっ、と音立てたと思うと、綺麗な黒猫が姿を現した。
ん? なんか見覚えある子……。
『おっ、リオ!』
『ごめんごめん。ちょっと見に行ってたんだ』
『まさか意中の相手のとこか〜? やるねぇ』
『う、うん……。えへへ』
あ——。ニャーニャー言ってて何話してるか全然分かんない。可愛いけど! 可愛いは正義だけど!
「アズキィ! 何言ってるのか訳してぇ〜!」
『わっ!!』
「うおわっ!いきなり入ってくんなよ!」
「だって……だってぇ〜」
『あ、この人ときどき煮干しくれる人だ! わぁ〜こんにちは!』
あれ……リオ君こっちに来てくれた……。ブロークンハートな私を慰めてくれてるの?
なんだこの子! かわいい! かわいい!
「煮干しくれる人だって言ってるぞ」
そっか! だから見覚えがあったんだー! ていうか……
「覚えてくれてたのっ!?」
『はい!』
「はい! だとよ」
純粋! 純真無垢! ピュア————!!
思わず私は思いっきり抱きしめてしまった。
『むぐぅ……。く、苦し……』
「おい。苦しがってんぞ」
「おわっ! ごっごめんねリオ君!」
どうやらアズキはのら仲間には自分が人語を話せるようになったことを教えていたらしい。
アズキと私が普通に話してる時、リオ君驚いてなかったしね。
とりあえず私は自己紹介をし終え、リオ君の話を聞いていた。(もちろんアズキの通訳で)
「えーと……その好きな子の名前は、[三崎 真白(みさき ましろ)]ちゃんていうの?」
『はい、そうです』
「そうだって」
「へえー……。どんな子なの?」
『そうですね……。あの子ちょっと複雑なんで、一言で言うのは難しいです……』
『そうなのか?』
『どうすればいいかな……、そうだ! 真白ちゃんが居るところに皆で行こう!』
『え? マジでか?』
『うん! 真白ちゃんには二人を紹介したいと思ってたし、丁度いいよ!』
『……お前、それだけじゃないだろ』
『えッ……。え、う』
「ちょっと2人ともぉー! 私をほったらかしにしないでぇー!」
「……ちっ」
えっ何で思いっきりアズキ舌打ちしたの!? まずかったのかなあー、今のタイミング……。
「今からその真白ってこのとこ行くんだってよ」
あれアズキなんか不機嫌……。
え、ていうか行くの!? 今から!?
『で、では行きましょう!』
『……おう』
「え、あ! ま、待ってよー!」
何故かリオ君とアズキが急ぐように言ってしまったため、私もあわてて後を追っていった。