コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 何かこの動物、喋っちゃってるんですが。 ( No.13 )
日時: 2010/07/28 18:45
名前: クレイア ◆PT5MXLpFOU (ID: CkThpPJM)

リオ君に案内され、10分程歩くと。

「ここって……病院?」

「そうみたいだな」

私が住んでいる街で一番大きい、中央病院にたどり着いた。

会話その2「何かこの猫、喋っちゃってるんですが。part2 中編」


『こっちです、こっち』

リオ君が何か言いながら中庭の方へと駆けて行った。

私たちも急いで追う。ていうか私は勝手に入っちゃってよかったのかな?

…………まあいいか!

『あっ今日もいた!』

『ん? もしかしてあの木のとこにいるやつか?』

『うん! 真白ちゃーん!』

大きな木の下に車いすに乗った女の子がいた。あの子が真白ちゃん?

何か……儚げな子だなぁ……。

すると、真白ちゃんがリオ君の声に気付き、こちらを振り向く。そして、パアと顔を輝かせる。

「あ、猫ちゃんだっ。 えへへ、今日も来てくれたんだねー」

『真白ちゃん、こんにちは! 体はよくなった?』

リオ君が真白ちゃんの膝の上に乗り、それを真白ちゃんは幸せそうに撫でる。

何か……和む絵〜。こっちが幸せになるわ。

一人ほんやほんやしてると、真白ちゃんがこっちに気付いた。

「あれ? あの人たち、誰?」

ヤベぇ。アズキはともかく、私は軽い不審者じゃん!

私は警戒されないように笑顔を浮かべて真白ちゃんに近づく。

横でアズキが「キモ」って言ってたのは聞こえないふりをしたけど。よし、後で煮干し取り上げてやろう。

「え、えーと私は鈴木恵理って言うの。リオ君の友達のアズキの……友達?」

「何で疑問符なんだよ」

ズバッとアズキに突っ込まれる。

あれ? ってかアズキあんた……!

「わあーこの猫ちゃん喋ってるー!」

「! やっべ……」

「バカー! アズキ何でしゃべんのよぉー!」

「うっせーな恵理がボケるからだろ!」

「何で私のせいになるのー!」

「うわあーすごいすごい! お姉さんまで猫ちゃんと喋ってるっ」

………………あれ、なんか好感触。

「これ、暴露しても大丈夫だな絶対」

「うん。そうだね」

ダイヤモンドばりに目を輝かせている真白ちゃんを見て、私とアズキはそう確信するのだった。





「んーと、何かよく分かんないけど、アズキちゃんって喋れるんだね!」

「うん。お前全然理解してないだろうけどそうならもうそれでいいや」

新事実。真白ちゃんはド天然でした。

アズキが説明5回もしたのに「何かよく分かんないけど」だもんね。そりゃさじ投げたくなるわ。

「えへへ〜。猫ちゃんとお話しできるっていいね」

とろけるような笑顔の真白ちゃん。周りにお花が飛んで見えるよ。

『おい、リオ』

『? 何、アズキ』

『何って真白だよ。お前分かっててオレに来いって言ったのか?』

『やっぱり、”見えた”? ……一応、アズキにも確かめてもらおうと思って……』

『”見えた”も何も、あと少ししかねーぞ。……お前、あったときから”見え”てたのか?』

『うん……』

『……そうか』

「ちょっと二人とも! こそこそ話多すぎだよ最近!」

「……うっせーないいだろ別に」

むうー!このアズキの言い方!

私はふくれっ面になる。横で真白ちゃんが可笑しそうにくすくすと笑っていた。

でもアズキ……何か元気ない?

「真白ちゃーん、検査の時間よー」

遠くで看護婦さんらしき声。

「あ、はーい。じゃ、私戻るね。またね皆」

『うん、バイバーイ』

「またねー」

「おう」

そう言葉を交わして真白ちゃんは看護婦さんとともに病院内へと姿を消した。

『…………』

……そーいやさっきからアズキとリオ君の元気がないように思える。どしたのかな?

「ねえアズk「恵理」

遮られた!

『リオ。言ってもいいよな?』

『うん。恵理さんにも知っててもらいたい』

? 何? 何なの?

「落ちついて聞けよ」

「な、何いきなり……」

アズキの面持ちに、私も緊張してしまう。何となく、何となく嫌な予感がした。


「真白の命は、あと1週間だ」


………………えっ……?