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Re: 未知なる世界にご招待        ★オリキャラ募集中★ ( No.104 )
日時: 2010/12/31 17:14
名前: ナナ ◆JUP8K6dM0U (ID: Tj9sX3SJ)

 26話 その手で触れられず……



「あいつが追い付いた、まずい……アイラが!!」

 イルは青ざめた顔を上げ切羽詰まったように、欠けたハートのネックレスを無意識に掴んでいた、握りながら無事を祈る。

「……どういうことだい? 君は今、おとぎの世界に居て、アイラさんが何処に居るのか分からないのに……」

 フィンは懸念そうな顔をしながらイルに尋ねる、仕方がないのかもしれない……一つの事を話してしまえば鎖のように次々と新しいことがもれだしてしまうのは。

「……このネックレスと俺の能力……あいつの能力と反応する力、いや、必然のかも知れない『兄弟』だから」

 イルは気の抜けたように微笑みながら言う、しかしその瞳に力も感じられず、ただ悲しみの色に浸っている様だった。

「やはり、先ほどのお話は貴方……イルさんとツインさんのお話しだったんですね……ようやく繋がりました、あの方が言っていたこれから起きる大きな……世界を揺るがす出来事が」

 フィンは目を伏せ気味に自分と今、ここに居ない誰かに語りだすように話す。

「どうにかしてアイラの所に行かないと間に合わない……巻きこんじゃ駄目なんだよ、もう誰一人気づ付けたくないんだ!! 自分の周りの人を……自分のせいで」

 イルは涙声になり、ポタポタといくつもの滴がフワフワなマットへと導かれる様に落ちて行く。


「……貴方は全てを私に話してくれました、お送りしましょうアイラさんの元へ、どうか貴方の手に戻ります様に……」

 フィンの言葉にイルは顔をしかめる、しかし次の瞬間ネックレスからは光が放たれ、イルは驚きながらフィンに叫ぶ

「何故、貴方がこの力を使える!? この力は俺でさえ、パートナーとの気持ちがしっかりと繋がった時にしか使えないのに……貴方は一体何者なんだ?」

 イルが懸命に叫んで聴くがフィンはゆっくりと首を横に振り微笑みながら最後の言葉を告げた。

「聴きたいことは山ほどあると思います、しかし今はアイラさんを助けることだけを考えなさい……貴方とは必ずまた導かれ逢いますから、少しの間だけさようなら……」

「貴方は本当に誰なん…………」

 その言葉の続きはイルと共にスッと消えてしまった……残されたフィンはただ誰に伝えるのでもなく

「貴方との約束、守りましたよ……後は見守り、ヒントを与えて行くことしか出来ません、この戦いで世界に大きな影響が出なければ良いのですが……」

 そう語るフィンの目はどこか遠い日の記憶を思いだしたそがれている様だった。




続く