コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: ざけんじゃねぇッ!と言う少年と少女の物語(darkness編 ( No.113 )
日時: 2010/08/27 15:09
名前: ハッチしゃn (ID: ymYDaoPE)

第18話

 真奈美は見逃さなかった。田名中光がテレポートなどしていない事を。鏡と鏡の光の反射で消えたようにしただけなのだから。廃墟ビルには鏡製の窓ガラスがある。それを使えば、と。真奈美は警察の知識を使ったのだった。

 そのため、走って逃げて行く田名中光を追ったのだ。

 (逃がさない! そしてお姉ちゃんごめんなさい。それでも私は・・・・戦場の一番奥深くへと進む!)

 その気持ちを曲げずに走る。逃がしてたまるか。その気持ちがあらわになっている。その意思で挑む。

 「・・・? あら、だれかと思ったら、妹さんね」

 真奈美が、十字路を通ると、そこには探していた田名中が隠れていた。

 「へぇ・・・あなたから出てくるなんて、嬉しいですよ。」

 真奈美には、恐れる言葉はない。もう逃がさない。真奈美には痛いほど姉の気持ちを味わった。だから、それを覆す事は出来ない。

 「あら? あなた雰囲気変ったわね。でもいいの?あなたはレベル6、私はレベル7。勝ち負けはもう決まってんじゃないかしら?」

 真奈美は少し、一拍を置いて、呼吸してから言った。

 「確かに、貴方を倒すことは出来ないかもしれないです。でも、逃がすつもりはありません」

 田名中光は笑って「何言ってるの? あなた私がテレポートして逃げたらそれでおしまいよ?」

 そして今度は真奈美が笑い、「じゃぁ、テレポートしてください。」と言った。

 田名中が真奈美を睨みつける。それはなぜか? そう、真奈美は彼女の弱点、欠点を見つけたのだ。それはやはり、姉との戦いを見ていたから気付いたことだった。

 「あなたは・・・自分をテレポートすることは出来ない。 そして、物ではない・・・人も。」

 「・・・なぜ?」と、田名中は首を傾げる。

 「だってあなたの能力は”座標”である物からしかテレポートできないからですよ」

 「じゃあ、なぜ私は、レベル8の風をかわしたのかしら?」
 「ええ。そこは疑問に思って”いました”。でも、分かったんですよ。鏡と鏡での幻想を作り上げているのなら、鏡をずらせば、一瞬動いたことになるって。」

 今の真奈美の表情は勝ち誇った顔だった。その隣にいる田名中は、薄気味悪い笑顔を浮かべている。

 「へぇ〜、それであなた、これからどうしようと?」

 真奈美はゆっくりと閉じた瞳を開け、まっすぐ見つめて。

 「あなたを・・・ここで逮捕します」






 二人の周りに・・・沈黙が漂った。