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Re: ざけんじゃねぇッ!と言う少年と少女の物語(darkness編 ( No.114 )
日時: 2010/08/28 16:10
名前: ハッチしゃn (ID: ymYDaoPE)

第19話「これが、坂条真奈美」

 二人の周りに長い沈黙が流れたが、それを田名中は滑稽に壊した。

「逮捕・・・? ははっ! やってみるもんならやってみなさい! お前の身の程を教えてやる!!!!」

 真奈美も負けじと言う。

 「ええ、だから! その第一歩ですッ!」と。

 真奈美は目の前にいる田名中に目がけて直径15センチ、縦1メートルの炎を投げつける。

 突如、その炎はかわされ、田名中は真奈美の背中へと回っり、右足で蹴り上げた。

 「−−−−!?」
 「ほらほらぁ、押されてるのではないのかしらぁ!?」

 真奈美はその蹴り上げた足を肘で止めて、後ろに下がった。

 「へぇ、器用なまねね。」と、田名中は笑う。それをみた真奈美は、不快にしか思えない。だから言った。

 「ほら、どうしたんですか?田名中さん。 あなたの力なら、私をすぐ倒せるはずですよね。手加減しないでください! ・・・舐めんなよコラ!」

 その言動に田名中は少し驚くが、もう一度笑みを取り戻し、攻撃態勢に入った。

 そう彼女は別にいつでも敬語や丁寧語を使うわけではない。やはり姉と似ていて、頭にくると言い方が汚くなるのだ。
 それを見た田名中は、さもおかしそうに笑った。

 「あっはは! あんたさ〜、そういう言い方出来んのなら、丁寧語なんて使うのは適切ではないわ。」

 そう言いながら、田名中は、真奈美に向かってシャーペンを見せつけた。

 「あんたさ、まだ傷癒えてないんでしょ? 応急手当てだけって、馬鹿よあなた。 今も・・・脇腹が痛いはずよね。もう一度 右腕もコテンパンにしてやってもいいのよ」

 「脅迫・・・ですか? 笑えますね。 もう一度喰らうほどの勇気がなくて、ここに立てるとでも? 立てるわけじゃないですか。・・・貴方を逮捕するとためにこの舞台に戻って来たんだ!! やわなこと考えている暇があんなら、ちゃんと戦え!」と、真奈美は言った直後に炎を左手に起こし、何発も田名中へと向けて放つ。

 その攻撃を田名中は器用に交わし、そして炎をテレポートさせる。依然、標準は真奈美本体だ。

 「じゃあ、さようなら。こちらの操縦計算できたわ。あなたよりもね。・・・ご臨終」

 と、彼女は言った後、散らばっている炎をテレポートさせる。・・・・が。

 その炎はテレポート出来なくなっていた。なぜだ?

 「なにを・・・したのかしら? こんな事は初めてよ?」
 「言ってなかったですね・・・私の能力は炎ですが、それ以前に所有能力者なんですよ。別に、能力を二つ持っているわけではありません。 ただ・・・自分の能力を固定する治療をしただけです。・・・他人に能力を使わせるなんて、反吐が出ますから!」

 「・・・そう。・・・・。 ・・・じゃあそのまま殺してやる!!」

 と、田名中は、奇声な笑い声をあげると、真奈美にシャーペンを掲げて、テレポートさせた。途中で真奈美の呻き声が上がるが、真奈美は炎を放つ。

 「・・・がはっ! また・・・刺さっちゃったか・・・」

 (どうしてだろう・・・どうして私はこんな危ない敵に向かって手を出したんだろう。・・・負けるのは見え見えなのに・・・。自分で分かんない事やってるなんて・・・とんだ馬鹿だよ・・・) 真奈美は、逆の脇腹に刺さったシャーペンを見ると、目を閉じて言った。

 「・・・だから、せめてここで私の”すべて”を出して頑張ってみるよ。」

 その真奈美の光景に腹が立ったのか、田名中は、睨みつけて言った、。

 「なぁにさっきからちまちま言ってんだぁ!? この小便臭ぇガキがよぉ! てめぇなんかに、暴力団を止められるとでも思ってんじゃねぇぞぉ? レベル6なんかが調子に乗ってんじゃねぇぞッ!!」

 先ほどの顔とはもう別人だった。目の前にいる田名中光は先ほどの面影は全くなくなっている。言葉づかい、目の配り方。すべてが変わっていた。それに真奈美は驚くが、その驚きの前に、もう一つの激痛が彼女を襲った。

 「ががっ!ああ!あがぁあッ!」

 彼女の背中に二本のシャーペンが突き刺さった。

 それが、今の田名中には笑えてしまう。

 「きゃははっ! ほらぁほらぁ! なまけてると痛い子ちゃんになっちまうぞぉ!?・・・・・・・・・・・・・ああ?!」

 田名中が真奈美に突進しようとしたが、その前に、真奈美はスローモーションのように倒れた。足場を崩したように。その光景が・・・またもや田名中の心をくすぐる。

 「ぎゃはははははっ! もう終わりかよぉ!? つっまんねぇ警察さんだなぁオイ! 一分も遊んでねぇじゃねぇか! あぁーつっまんねぇ! ここまでしといてよぉ・・・ここで逝っちまうたぁ・・・しょうもねぇガキアマだな!! 滑稽だぜ! ぎゃはははッ!!」

 田名中は、壁に寄りかかりながら大声をあげて笑う。その隣には、無残ながらもまだ息をしている真奈美が倒れている。田名中は彼女を見るたびに、笑い上げている。まるで”ざまぁみろ”と言うように。

 だが、倒れてしまった真奈美も、まだ意識はあった。まだ、体も動かせた。・・・ただ彼女の体は今のうちに休んでおけというように感じたのだ。それで崩れた”真似”をする。息を整えようと、吸ったり吐いたりを繰り返す。

 (まったく・・・笑っちゃうな。 隣に馬鹿笑いしている女がいるのに、体を優先させるなんて・・・。なんてザマなんだろう・・・。こんな事でポリス・スタデントになっているのが笑えてしまう。 本当、つくづくお姉ちゃんを尊敬しちゃうよ・・・。絶対お姉ちゃんならこんなヘマをしない。・・・・いい加減にしろ真奈美!)と、自分自身に言葉を投げかけると、真奈美は言った。

 「・・・確かに・・・しょうもねぇガキアマですよ。・・・でも・・・それを貴方に・・・言われたくはない・・・です」

 「なぁにぃ? あらら、まだ話せるのね〜、うふふ、いいわ。お姉さんが、そこまでして意識を保っていられる事を讃えて、この世界の真実を教えてあげるわ!」

 突然、田名中は機嫌が良くなったように変わると、もう一度、最初のような口調と雰囲気を変え、倒れている真奈美を見て言った。

 それには、真奈美も疑問を抱いていたところだった。なぜ姉はそれを知っているのか。・・・まるで極秘のようなものだったので、考えれば、気になってしまう。

 その意思表示として、真奈美は田名中を見上げた。

 「・・・真、実・・・・?」と、問いて。