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- Re: ざけんじゃねぇッ!と言う少年と少女の物語(darkness編 ( No.118 )
- 日時: 2010/08/29 14:23
- 名前: ハッチしゃn (ID: ymYDaoPE)
第19話「これが、坂条真奈美」
「・・・真、実・・・?」
田名中はその問いに薄笑いをする。そして人差し指を夜空に向けると、口を開いた。
「そう。・・・この世界の真実。・・・私たちがなぜ能力を持ったのか、元々隕石が落ちて地球は生まれ変わったとか言われてるその裏の真実よ。」
その言葉に真奈美は目前とする。疑う前に、そんな”真実”など、”考えた事もなかった”からだ。だから彼女にとっては、分からないの前提で聞かなければいけなくなったのだ。
「その・・・真実って・・・・」
田名中は、髪の乱れた所を直すと、真奈美を見た。
「私たちが能力を持ってしまったのは、2010年にさかのぼるの。私たちは、いえ、今の人類が能力開発されて行ったのは、その年なのよ。2010年前までは、人類は”普通”の人間だった。ところが、その年を境に『イコール』という少年が、研究施設で作られたのよ。あなたも知っているでしょう?」
途中の説明で、少年の名前を真奈美に問う。当然、真奈美は体中が傷つけられているため、苦痛の表情を離すことは出来ない。
「・・・ええ、知っています。 最強のレベル8で、その最強の中で最も強い能力者ですよね・・・」
田名中は、夜空に向けた人差し指を振り戻す。
「・・・そう、その最強能力者が、”最初に作られた能力者”なのよ。・・・意味分かる?」
「つまり・・・私たちは、その少年が誕生したことにより、”能力者”を、この世界に量産させたという事ですか?」
「・・・正解。・・・そしてその”量産”された人間が、この世界にいるすべての人たちな訳よ。」
真奈美は絶句する。考えられなかった事が、こうも単純な事実で、世界を操作された事が信じられなかった。(でも・・・待って。だったら、なんで幼い時の記憶で、私は”能力を使っている”の?)
「少し待ってください。だったら、どうして私が2010年以降の記憶で、能力を使っているんですか?」
田名中はまたも、一拍だけ鼻で笑う。
「・・・そこが、科学の力って奴でしょ。その問いに答える前に言っておくわ。・・・私たちの”普通の体”、つまり、私たちの生まれながらにして出来た”本体”は、隔離されているの。」
真奈美は追い付けない。その説明があまりにも”オカルト”すぎるからだ。
「つまりね、私たちの記憶も、体も、全部”能力者の身体”に植え付けられることで、”偽りの記憶”でリセットされているという事よ。・・・どう?こんなことされたら、今の人類は誰も気付けないでしょう? 自分の本当の体が保管されている事も、頭の中の記憶が嘘で塗り固められている事も。・・・誰かが気付かなければ、どうにもならなかったわ。・・・それで私たちは、能力を使える体を手にしたというわけ。」
真奈美の脳細胞がどんどん減って行く。ここまでの真実がありながら、それを知らないで生きている人類。世界各国の人々がこんな真実を見つけられなかったら、・・・この世界はどうなって行ったんだろうか。・・・・でも、逆から見ると・・・・どうでもいいのではないのだろうか?・・・そんなことも、真奈美の頭の中は駆け巡る。
「・・・それで、あなたはその真実を知って、そこからどうするために”戦争”を起こすなんて言ったんですか?・・・暴力団に入って、戦争を起こして、何をする気なんですか? ・・・あなたの暴力団は。」
意外の真剣なまなざしをされたので、田名中は目をひそめる。本来ならこの真実を知ったら、喚くに決まっていると思ったのだ。だが・・・目の前にいる女はなんなのだろうか?・・・こんな真実を知って、あんな眼差しをこちらに向けるとはどういう神経をしているんだと。