コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ざけんじゃねぇッ!と言う少年と少女の物語(darkness編 ( No.130 )
- 日時: 2010/09/01 15:15
- 名前: ハッチしゃn (ID: ymYDaoPE)
第20話
爆発の被害は土手広場では済まなかった。その周りのビルや住宅地も巻き添えだった。
「ぎゃはは! な〜んだ、 通告しなくても軍隊達来るじゃねぇか! こりゃ手っ取り早ぇ〜!」
と、そこには田名中光の姿があった。手当たり次第にデカイコンクリートの破片などをビルや軍隊の中央にテレポートさせている。そんな事では、ここまでの被害は出るわけがない。だが、その原因は彼女ではなく、彼女の隣にいる中山樹里という女性の”あらゆるものを爆発させる”能力のせいだ。通称、爆弾能力者とも言う。
「私の能力を甘く見過ぎだったってな訳よ。この言い方が私の心を快楽にするって訳よ〜!」
中山樹里・・・レベル7。今のここまでの被害が出た多くは、彼女のせいだと言っても過言ではない。このようなビルが破壊し、それが人々の怪我を負わせている事をさも楽しそうに、物を拾っては投げて爆発させる。
「あ〜あ、めっちゃ壊れてる。ウチらもうめっちゃ後に下がれない状況ですね。そこがめっちゃ面白いんですが。」
と、中山樹里の隣には、小学生くらいの女の子が、パーカーの頭部分を、顔を隠すぐらいまで深く被っている。名前は、枡中小猫。レベル7. ”あらゆる物体の時間を速めたり遅くする”能力。通称、変速能力者。
「ささっと・・・全滅させないと・・・殺雄に怒られちゃうな・・・」
枡中の隣に、身長180㎝以上の、髪を茶髪に染めている男、殺戮呪朗がそう呟いた。服装はまるで、ホステスでもやっているかのようなお洒落なスーツ姿だった。レベル7。”一定の覚醒状態(翼が生えた状態)は、すべてを葬る(両目から直射される光に当たると、石灰となる)”能力。通称、翼体能力者。
「別にそこまで鬼じゃねぇよぉ・・・」
そして、この暴力団のリーダー、山陀殺雄。殺戮の言葉に受け答えると、右手で添えるように頭を掻く。レベル8。”左腕に宿いし『神殺しの左腕』は、それに命が有る者を喰らいつくす(接触=寿命中断)”能力。通称、異変能力者。
やがて、その五人が現れていた時には、周りには二千人を超えるであろう軍兵が、群がっていた。真ん中にいる暴力団へと銃を向けて。
「君達にはこれ以上、鎮圧することは出来ない!言う事を聞いて、逮捕されるんだ!・・・君たちの負けだ! これで終わりにするんだ!」
その暴力団の、目の前にいる軍人は言った。だが、その言葉は、五人組には届いていない。だから、もう一度は言わない。これで終わりにしようと。
「五人に発砲を許可する! 全軍、発砲せよ!!」
それを合図に、前にいる軍隊は引き金を引いた。
彼らに心を見ず。顔を見ず。そこにいるだけを考えて。
その悠長なことが、悪夢へと、たった一秒という時間差で変換する。
撃たれた弾は、どことなくスローモーションで再生しているかのように遅く、そして、それを見ていた前方にいる軍隊は、中山による、飛び散った弾を爆破させる事で消滅した。
その瞬間を見ていた尾崎と奈津美は、たまらわず突撃した。
「「ふっざけんなぁーーーーッッ!!」」
二人の思った言葉は、一緒だった。
家族がいるかもしれない、大切な人がいつかもしれない人間を、一秒としないで五十人もの人を殺したこいつらを、ためらってられるかと。
——ふざけんじゃねぇよ——と。