コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ざけんじゃねぇッ!と言う少年と少女の物語(darkness編 ( No.142 )
- 日時: 2010/09/13 15:23
- 名前: ハッチしゃn (ID: ymYDaoPE)
第20話
弱点を見つけた今、彼女のすることは決まっている。ただ、もう一度同じ事をするだけだ。
「やっぱり、異能力で作られた技と、生命体の中断以外は出来ないって事ね。なーんだ、なんでも打ち消せるわけじゃないって分かったら、どーでも良くなったわね。いい? 今からお仕置きしてやるから、歯ぁ食いしばりなさい!!」
「!?」
それを合図に彼女は山陀へと向けて、物体の破片を見つければそれを風で飛びさせ、突撃させる。その繰り返しを何度も何度も仕掛ける。
だが、そのたびに背中を猫背にさせるため激痛が奈津美を襲う。
「はぁ、はぁ、もう一個!!」
「くっ! くそ! めぇんどぉくせぇことぉしてぇんじゃねぇぇよォォ!!」
「っな!?」
奈津美が放った破片を何度も山陀は避け続ける。が、それは彼が余裕を持っていた事も表せる。そのため、奈津美へとこっちが仕掛ける余地を図っていただけだったのだ。疲労している奈津美のその一拍の物を飛ばす時間を開けた事で、・・・それは”隙”となる。
そこを確認した山陀は、即座に奈津美へと突進を掛ける。
(まさか、私を寿命中断させる気?!)
そんな焦りを感じてしまうが、その余裕が何も手を打てなくなってしまう。すでに10㎝前には山陀の左手が掴むような形をして向かっている。
(どう、すれば—————ッッ?!)
せっかく弱点を見つけたのに、意味がなかった。
せっかく尾崎を助けられると思ったのに意味がなかった。
せっかく二人で春山の捜索ができると思っていたのに。
せっかく・・・・ごめんね。せっかくなのに・・・。
奈津美は目の前の直前にある左手を逸らすために、力いっぱい目を瞑る。せめて、命が亡くなると言う感覚だけは感じたくなかったからだ。
それでも、目の前にある左手は存在していることは事実だ。だから、触れると思った瞬間、彼女は思った。
『・・・助けて!』と。
「・・・・・・・・・・・・なぁつみにぃ手ぇ出すなァアアアアッッ!!」
その声に、尾崎の声に奈津美は反応し、目を見開くと、そこには、彼女の横を通ったのであろう尾崎が、真正面から山陀の顔面をぶん殴っていたのだ。
「がぁッ!」
その突拍子のないまさかのあり得ない反撃に、殴られた衝撃と共に、山陀は10メートル先まで殴り飛ばされる。その殴る時の尾崎の眼光は、虎だった。
(・・・なんで?)
「お・・・ざ・・・き・・・?」
奈津美の両手両足、体全体の震えは止まらない。それどころか、彼女の心の中も震えあがる。謎と疑問と感動と歓喜。この四つが彼女の心をデカイ振動で揺るがす。
(どうして? なんで? だって、だって、動けないんじゃなかったの?・・・・命は中断されたんじゃなかったの?)
目の前にいる尾崎の背姿を彼女は見詰めることしかできない。瞬きはできない。
だが、そんな見つめる事は終わりを示す。尾崎はゆっくりと奈津美へと、笑顔で振り返る。とてもゆっくりで、彼女を焦らせるように。意地悪で、それを行ったような笑顔で・・・。
「・・・尾崎・・・?」
「へへっ・・・”空気読めねぇ主人公、窮地にて現る”ってな」