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Re: ざけんじゃねぇッ!と言う少年と少女の物語(darkness編 ( No.152 )
日時: 2010/09/18 15:16
名前: ハッチしゃn (ID: ymYDaoPE)

第21話

 「・・・私はね、あんたが死ぬ事が一番つらいのよ。・・・お願いだから、これからは相手を考えて行動しなさいよ。今回の事は許してあげるから・・・」
 奈津美は俯きながらそう言った。尾崎は髪の毛を掻くと、そっぽを向く。
 「わりぃ・・・これから気を付ける。」
 奈津美はその答えに頷くと、俯くのをやめ、顔を尾崎へと向けると、顔を輝かせて言う。
 「それに、・・・まだ今回の事件は解決してないしね!」
 尾崎はいきなりの明るい声に驚き、半テンポ遅れながら、奈津美の明るい声に負けないように。
 「・・・おう!」
 と、頬に紅色を残しながら頷いて言った。


 その一方で、二人の命を奪った山陀は、人間らしからぬ形態へと進化を遂げていた。
 トンネルの中を彼はまっすぐ光の出口たる外に向かっている。捕食によって暴走した『神殺しの左腕』を上半身裸で”ぶら下げながら”。
 長く伸びた左腕。そして長い爪は、引きずりながら歩くごとに奇妙な刃物が当たるような音を響かせている。彼の左肩から左手に掛けて、膨大な灰色に染まった筋肉と血管が浮き出ている。今にも破裂しそうと言っても良いだろう。
 やがて彼が外に出ると、”あの二人”の匂いを頼りに、よだれを垂らしながら高速なスピードで走り続ける。自分を追いかけている奴を、懲らしめるために。もっとも、倒されるのはお前らなのだと思い閉めるために。
 だが、途中で彼は止める。

——これでは、まだ足りない——

 と。だから彼は思った。仲間を思い出して。残り生きている仲間を思い出して。
 (あと二人はどこにいるんだぁあぁ?!)