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- Re: ざけんじゃねぇッ!と言う少年と少女の物語(darkness編 ( No.153 )
- 日時: 2010/09/18 16:03
- 名前: ハッチしゃn (ID: ymYDaoPE)
第21話
夕日が輝いている大空に、二人のダークネス暴力団員が飛んでいる。この表し方は不思議なものであるが、そこに飛んでいるのは事実。
殺戮によって開かれた翼が羽ばたき、宙を飛んでいく。ともに、殺戮が枡中小猫を抱きかかえて飛んでいる。探しているのは特にはない。彼と彼女はただ単に、もう一度、帰る場所に帰るだけだ。
———そこに、仲間がいることを信じて。
二人の思いは一緒で、共に逃げようとしているところだ。その二人が羽ばたいている所を、『神殺しの左腕』の暴走により形態を変えた山陀が、”獲物”としてそれを目撃する。
山陀はトンネルを抜け、街中を見渡せる場所の山へと登っていると、その二人を目撃する。
「くくくッ!ぐひゃひゃッ! えーもーのー見ぃっけたぁぁァッ!」
彼は、彼らが行く場所を特定すると、そこに向けて、よだれを垂らしながら、そこら中にある木を、左腕で破壊しながら両手を広げて全力疾走で走り続ける。
彼にとって獲物など、普通の人間では楽しくないと感じている。これはつまり、”関わりのない人間を殺しても楽しくない”という考えだ。だから彼は捕食として仲間を殺し食べる。一番信じあっていた仲間が急に裏切られる時の仲間の顔、その一瞬こそだけが、彼の心を凍らせ、そのスリルがたまらなく快感だからだ。
だから彼は仲間を集めた。
だから彼はバカげた作戦を考えた。
この快感だけを求めたかった。
”なかま”など、それしきの事と考えさせるために。
「ぎゃはははは!ぐはひゃひゃひゃ! おもしれぇ! おもしれぇよォォぉ!!」
(あいつらの行き先は、俺が決めて言った”帰るべき場所”! この綺麗な名前で飾った小汚ねぇ工場だ! それを言った時のあいつらの幸せそうな顔! 馬鹿かてめぇら!っての! ぎゃはは! あんな汚ねぇ所が”家”なんて、馬鹿にも程があんだろ!ぎゃははははははあっはははははは!!)
歓喜。凶器たる狂喜。その奥にある振れ上がる快感。これだ、俺が求めていたのは。
(待ってろよ二人とも、その糞みてぇな”家”に、パパが帰ってあげるからよォォおおッ!)
「くくく! ぎゃははは! ぎゃははははははははははははは—————ッ?!」
突然、彼の獲物を殺すために向かっていた、人気のない街中の視点は大きく右へとずれる。それは突然すぎて、彼は、自分自身が殴られている事に気付くのに時間がかかった。
そして殴った張本人は、眼光を輝かせた尾崎浩太、その本人だった。隣には警戒している奈津美が石ころを巻きたてるように風を起こしている。
「へらへら気色悪ぃ笑い声あげて走り続けてんじゃねぇーよクソッタレ。その奇妙な体して、何してぇのかわかんねぇけど、俺はまだ殴り足りてねぇんだ。まだまだ殴ってやるから、伏せてる面あげて、かかってこい。・・・化け物!」
(化け物・・・化け物化け物化け物)
「てんめっぇえええ! ぶっころぉす!!」
山陀は勢いよく起き上り、続けて左腕を尾崎に向けて振り上げる。
そこをタイミング良く尾崎は左回りをし、殴りかかった左腕に当たることなく回避する。だが、振り下げられた左腕は、止めることなく随時と尾崎に襲いかかる。
「・・・怪獣映画のバケモンか、お前!」
「うるっせぇええええ!!」
二人は激突しようとするが、尾崎にとってそれは死亡確率を高める。左腕に当たれば終わりだ。
だが、この舞台にいるのは二人だけではない。坂条奈津美も、ここにはいる。だから彼は彼女を味方として使う。
「奈津美、こいつの隙を作れるように、攻撃してくれねぇか!?」
「あったりまえでしょーが!!」
奈津美は、一緒に戦える事にわくわくしながら、応戦する。共に闘える事を意識し、確実に倒せるように考えながら。
そして、もう一度、命を無くされる事のないように気を付けて。