コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ざけんじゃねぇッ!と言う少年と少女の物語(夏休み編 ( No.175 )
- 日時: 2010/09/25 17:38
- 名前: ハッチしゃn (ID: ymYDaoPE)
第22話
およそ一時間が経過すると、上野駅にて尾崎達は降りた。
そこで奈津美は指揮をとる。
「え〜っと、たしか上野駅からまっすぐ行って右に行けば・・・」
その道通りに進むと、そこにあったのは新しくできましたと言わんばかりの色合いでできた『サマー・プール』というところだった。東京ドーム1個分のデカさに尾崎と松代は絶句する。その多大な大きさに魅了するしかなかった。
「すごい大きいプールねぇ・・・」
「ここまで来たんだから市民プールになんて行かないわよ」
(本当は尾崎と来る場所だったのに・・・)
奈津美は反面後悔しながら凪野の言葉に答えた。彼女は実のことを言うと、尾崎と来るためだけに新しくできたプール施設を探していたため、かなりの悔しさと悲しさが残っている。それでも奈津美は奥歯を噛みしめ、せめて友達同士で楽しもうという感覚を作り出す。彼女なりの自分への支えだった。
「尾崎・・・ここは天国の入り口か?」
「さすがにそれはねぇだろうけど・・・それなりのご立派さが伝わるよな。奈津美、ありがとな〜誘ってくれて」
「ふぇ、ぇ、?!」
いきなり感謝の言葉をもらった(それも最愛の人にもらった)奈津美は意味のわからない声を発する。赤面全開で笑顔で答えた。誤魔化そうとしたのだろうが、隣にいる凪野にはバレバレだった。
凪野は周りに聞こえないように奈津美の誤魔化し様を見て「くすっ」と心の中と静かな声で笑った。
「で、奈津美。どうやって受付するの? さっさと入らないと満員になっちゃうんじゃない?」
「うっ!・・・そうね、先に越されるわけにはいかないわ。」
奈津美が混乱中の中、一番焦っていた所をうまく凪野は貫いた。
またもや奈津美の幼さに凪野は心の中で笑った。(まだまだね・・・序列第二位のレベル8がこれだと思うと・・・ふふっ)
奈津美がそそくさと受付に向かうと、残りの三人も急いで後ろへと続いた。
やがて受付を済ませ、男女別に更衣室へと向かうと、水着にそれぞれ着替える。やたらとのんきには着てられないので尾崎浩太はたったの5秒でサーフパンツに着替えた。奈津美や凪野、松代もそれぞれ着替え終えると『サマー・プール』の入り口付近にて集合した。
「みんな揃ったわね、じゃ、入りましょうか!」
尾崎ともども頷くと、自動ドアが開き、『サマー・プール』へと入っていく。
だが、全員が中に入った途端に、周りの景色に唖然とする。
「わぁ・・・」
「すご・・・」
意見はそれぞれ別だが、東京ドームぐらいの広さを完璧に使い当たったアトラクションやプールが増大な数で流れている。ましてや尾崎のいる入り口付近は二階にあり、階段から下りて初めてプールと同じ平面の位置に達する。その二階で尾崎達は知ってしまった。彼らの横には数台の長い虹色でできたような水の滑りを活用した滑り台があり、ちょうど中学生のような男の子が歓喜の声を上げて滑っているところを。
「なんか・・・外見だけじゃなくて中身もこんなにすげぇと・・・」
「男っつうのは・・・」
「「はしゃぎたくなっちゃうんですッ!!」」
まるでピストルの合図が鳴ったかのような大声を少年二人はあげると、共に階段を駆け下り、一階にある平面プールにざばぁっと、大きな音を立てさせて突っ込んだ。
「ふぇ・・・・?」
「なーつーみ、さっさと行かないと、あのオス共、あと数分くらいで見失っちゃうぞ?」
ピキーンっと待ってましたばかりのように奈津美が闘争心を抱くと、尾崎と松代が向かったプールへと行くために、横の水流滑り台へと乗り移り、そのまままっすぐ目を輝かせながら流れて行った。
「こらーっ」など、従業員が叫んでいるが、問答無用。奈津美はそのまま尾崎達にダイブし、顔面左右両方キックを食らわした。
凪野はやれやれといわんばかりに、額に人差し指をつけて顔を横に揺らすと、ゆっくりと階段を下り、尾崎達の救出に向かうのだった。