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Re: ZAKENJYANEEEE!!!  William編 ( No.201 )
日時: 2011/01/25 18:52
名前: ハッチしゃn (ID: ymYDaoPE)




 ここは俺の部屋。というより寮の部屋なんだけど。
 タンスの中から私服を取り出し、キャリーバッグの中に入れる。
 ちなみに機内持ち込み対応ができる優れモノ。

 だというのに雑に私服を押し入れるポタコンが隣にいる。
 「ちょっと、それ結構高かったんだからもう少し優しく使えよ!」
 「えぇー……メンドクサイ」
 「おい」

 オクターブを下げて言うと、理解してくれたらしく、少し怒りながらもちゃんと畳んで入れている。

 なんか今の感覚は初めて味わったが、これが親がしつけする時の気持ちなんだろうか? 少し、胸が痛くなった。
 まぁ、少しはポタコンも自分から気を付けてもらいたい所だけど。

 私服を全部キャリーバッグに入れ、余っているスペースに洗面用具を詰めていく。

 ロンドン旅行か……それも三日間。

 「なぁポタコン」
 「んー、なに?」
 「お前なんでロンドンに行きたいの?」
 「……え?」

 え?って聞かれても質問してるのこっちだぞ?
 なんか知らんけどポタコンが両頬を紅潮して背を向けてしまった。

 ……ほう。

 「ええー! なにー! 聞こえないぞポコちゃん!! もしかして、もしかしてのロンドンに彼女がいるとかかなーー!?」
 「———いやいやチゲーーよ!!」
 「へぶしっ!?」

 ナ、ナイスツッコミ。ちゃんとお腹を狙って平手打ちかましたわこの子。ぐふ…。
 俺が痛めたお腹を押さえていると、ポタコンはちゃんとこっちに向き直り、紅潮したまま口を開いた。

 「えっとね……えへへ。……ロンドンの世界遺産の情報データが曖昧で、そこを埋め合わせしたいんだよね…って話。うふふ」

 さすがアンドロイド。いや、人工的に作られたロボット知能。
 どうにもこうにも曖昧な情報は徹底的に集めたがるらしい。逆に恐ろしいけども。

 ま、そんな事を言われた俺は何かをするわけでもなく、「ふーん」とそれはそれで置いといて、旅行の身支度を優先することにした。

 「うん。オッケイ、OK。全部ピッタシ納まったな」
 「こ、浩太浩太。お菓子入れてくれないとこっちとしては死滅に近いんだけど」
 「いや駄目だって。お菓子を食べれるのは飛行機内か、ロンドンに着いてからだ。だいたい死滅って、食べないくらいでそこまでならないだろ」
 「……浩太ッ!」

 ありゃーもうー……なんかすごい事しちゃってるよこの子。
 両手を握ってめっちゃ拝んでる。瞳も潤いすぎていつ涙が出るか出れないくらい。
 だが、ここは心を鬼にして。

 「駄目なものはダメ。せめての辛抱なんだから我慢しろって!」

 「……そうかぁ……うん。頑張るね」

 (潤い作戦失敗かー……女の人だったら一コロだったのになー…)みたいな感情がまるっきり分かるような表情で言いやがった。

 気付かないように俺も背を向けて、明日の目覚まし時計をセットする。

 今でも思うと、本当にドキドキしている。人生初の海外旅行。

 明日が楽しみだ————と、思うような三日間にしたいぜ!