コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

SS1 —サマープールの事情— ( No.230 )
日時: 2011/04/18 19:18
名前: ハッチしゃn (ID: X96rB3AK)


 「だーっ、もうぅう!!!」
 奈津美はある事に気付いた。
 サマー・プール施設内では(レストランやもちろんプールの中も含む)、原則として能力の使用が禁止なのだ。

 別に坂条奈津美本人も、レベル8並みの膨大な力を使って遊ぼうとしたわけではない。そんなことしたら施設など跡形も無くなってしまう事くらい分かっているからだ。ただ、彼女がしたかったのは。

 (水面下直前の所で、浮揚できるほどの風を使ってスケートみたいな事をしてみたかったんだけどなぁ………)

 なんていう、水の上を滑ってスケート(?)を堪能! と考えていたようだ。

 その能力使用が禁止だと言う事を気付いたのもまさかの待ち合わせ場所であった。すでに駅前で集合場所に来てしまっている。
 今回だけはどうもできないと思ってしまう。

 (尾崎も呼んじゃったし、友達も来るらしいし……凪野と私だけだったら行き先変更できたけど……ううん、駄目よ。今日は尾崎の腹筋が見れる日なんだから! そ、そうよ。そのためだったらこれくらい我慢の内よ!!)

 ハァハァ…と顔を赤くしながら興奮した奈津美は、駅前のホームの中にある影に隠れて、火照った顔を少し冷めさせながら、鏡を取り出して、ヘアピンの位置を確認する。

 なんとかいつも通りのヘアスタイルだが、こう思ってしまう。
 (なんか、いつも通りってのも変よね…? せっかくのプールなのに、いつも通りのヘアスタイルって……?)

 で、いつものように焦りだした。

 (え、えっと待って! ど、どうしよう? お、おかしいわよね? だってプールよ?! 男子と一緒になんだし、少しは可愛い髪型とかにしたほうが色目使ってるって思われて正しいじゃない! こ、こんなんじゃ尾崎が見つめる対象は、———ッッ!!!)

 そう。彼女が直々に連れてきた女の子。そして今、駅前の横断歩道前で信号待ちしている彼女、凪野愛奈だった。

 彼女の服装は至って、ワンピースなどが多いのだが、なによりもスタイルが抜群なのだ。
 ウェスト、ヒップなどがモデル並みの細さで、そして肌が白い。髪はくせ毛のある長い茶髪をいつも伸ばしている状態だ。

 そして奈津美が勝てないのはそこではない。バスト、つまり胸だ。

 (そうよ、私みたいなBBじゃ、絶対敵えないわよ! そもそもDDなんてどうやったらそんなにデカくなんのよあの歳でッ! 何食ってんだあの女ァ!!)

 妬ましく思う奈津美。表情には若干の怒りマークが出ている。
 通り過ぎる道行く人も、(な、なんか怒ってねぇ?)と感じながら通っていく。

 で、信号待ちであった凪野が、信号が青になった事により、奈津美の方向に向かってくると最後の一撃を奈津美に喰らわせた。


 髪型がポニーテールだった。それもめっちゃ似合ってるという…。





SS次回→SS1:「サマープールの事情2」に続く。