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Re: NO、REASON!! :new-zakenjanee!! ( No.234 )
日時: 2011/04/22 21:37
名前: ハッチしゃn (ID: X96rB3AK)


 同日の坂条家が住んでいる学生寮二階

 ここは坂条姉妹の住む部屋だ。マンション型の寮なので部屋に階段はなく、姉と妹の部屋二つとテレビが置いてある居間に台所とお風呂という、至って普通な部屋である。

 だが、その中で変化している事がある。
 坂条奈津美と言う姉は、自分の部屋ではなく、妹の部屋の机に座っている事。この部屋の本人である坂条真奈美はベッドの上で寝ている(?)という事。

 あと一つ変わった事といえば、坂条奈津美が泣きそうな顔になりながら妹の机の上で、バンク端末から素人のようなハッキングをしている事だった。


 「ごめんね————」

 ふと、奈津美は静まり返った部屋の中で許しを得るように言った。本当に、涙をこらえるように。手難しいハッキングをするのをやめ、震えだしながら言った。

 が、それに応える者も、答える者もいない。
 同じ部屋で寝ている、いや、意識を失っている坂条奈津美の妹である真奈美も反応を示さなかった。だからさらに沈黙した空間が深くなっていく。静かな何も音もしない時間が続くから、奈津美の謝罪の念もまた大きくなっていく。

 だから彼女は思った。後悔の気持ちを。

 (本当はいつかこうなる事は分かってた。たぶん早いうちにも来るだろうって分かってた。だけど私は、真実を知ったときからダークネス事件が起きて、解決したら気が緩んで現実から目を背けてた。早いうちに春山の捜索をしなきゃいけなかったのに……)

 眉のしわを寄せながら窓に映る静止した街を見つめる。視界に広がるのは、街中を歩いていた人々が地面に倒れていたり、車に追突されている所だった。

 (最低の馬鹿野郎……。何をしてたのよ私は。早く行動していれば、こんなことには、こんなことにはならなかったのにッ!!)

 ガンッッと奈津美は机に拳を叩きつける。
 例え手の拳が赤くなり、痛みが伝わってきても、自分の罪を重く感じた奈津美は、一回ではやめない。歯を食いしばって二回、三回、四回目と続けて殴るように机に叩きつける。

 「……ッ……!」
 やがて拳は悲鳴を上げたくなるような激痛に変わって行き、最後は自分の頬にビンタをしてから、声を潰して涙を流す。

 (馬鹿野郎ッ!! なにを、なにをしてたのよホントにッ! 時間ならあったじゃない! 捜索している暇なんてあったじゃない! なにが日本で第二位の誇り高き能力者よッ! あぁぁァァァァァッ!!)


 今度は、口を開いて誓う。

 「絶対に捕まえるッ! そして春山かどうかはわからないけど、首謀者をとっ捕まえてみんなを、みんなを救ってみせるッ! わたしにだって人を救う力があるってことを証明してやるッ! 私を無力で留まらせてんじゃないわよ春山ァァッ!!」

 聞こえているか分からない街並みに、奈津美の叫びが響く。

 窓には、眼光を鋭い光で輝かせ、誓いを胸に刻み込んだ奈津美の姿が映されていた。