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Re: ざけんじゃねぇよ!  〜final story〜 ( No.242 )
日時: 2011/04/29 20:29
名前: ハッチしゃn (ID: X96rB3AK)

一篇「主人公の終局」#01

 尾崎浩太は走っていた。

 ただひたすら、ポタコンの手を握って一緒に走っていた。
 ロンドン観光ホテルの外に出るためにだ。

 もうここにいたって仕方がない。だから、彼はホテルの外に出ようとしたのだ。

 なのだが、彼はホテルの出口が見えた所で、自動販売機の裏に隠れた。
 なぜなら。

 いきなり出口の自動ドアから大勢の黒いヘルメットに武装を身にまとった軍隊らしき人々が突入してきたからだ。顔はヘルメットとガスマスクが付けられていて見えない。

 そもそも電気が付けられていないホテルの中は、朝日の日差しが窓から照らされるだけで、それ以外の光はどこにも灯されていない。だから顔が見えない以前に突入してきた者達の姿自体が暗くて尾崎では認識できない。

 正しく言うなら、”そう見えた”だろうか。

 「こ、浩太、どうしたの?」

 隣から、一緒に隠れたポタコンが不安を露わにする。その不安があったからこそ、小声で言ってくれたのだろう。普通の声で言っていたら見つかっていた。
 とにかく状況を言葉で伝えるにも伝えられそうにないので、人差し指で黙っておけと口を塞いでおく。それを理解してくれたのか、ポタコンも大いに頷いた。

 (くそ、どうする? 見た目的に真っ当に相手出来る数じゃねぇし。一旦ここは戻るか? でも戻ったら戻ったで、あとからホテル内を全領域を捜索するだろうし。つかお前ら絶対俺等を捕まえに来たよな!?)

 届かないであろうツッコミを胸の内に秘めながら、相手がこちらに来る前に逃げる方法を頭で考える。

 (マ、マジでどうしよう。正面突破で逃げるか? でも捕まったらそれまでだ。そもそもあいつら捕まえるってより、攻撃しそうだしな…。 なんか方法は………)

 その時、尾崎は目の当たりにした。隣にいるポタコンが親指を立て、ガッツポーズをしているところを。

 そしてウィンクをしたところを。つまりはこうだ。

 『ここは、君の超能力の出番じゃないかね!?』……と。

 それを正すように、小声ながらも反論をする。そんなのやったら終わりだ。
 (む、ムリだろ! 何考えてやがる! 俺の能力はこんな数には敵わねぇって!)

 「だ、大体、銃でも撃たれたりでもしたらそこまでだろ!」

 と、つい不安が勝って、小声から大きい声で言ってしまった。その時のポタコンも『なにやってんのお前!!』という表情を隠さなかった。

 即座に尾崎は自動販売機からあせり顔を出し、今の声があの武装した者達に聞こえていなかったか確認しようとしたのだが、もう遅い。

 顔をちょうど出したところで、尾崎の視界に銃口が向けられる。

 「お、う、———ぉおおおおおおおおッ!!!」

 尾崎、まっしぐらでポタコンを担いで出口へと逃走……だが、さすがまっしぐらとでも言うべきか、出口で構えていた武装した人の銃に反応してそのまま非常口へと行き先を変更し、チンピラ露わにしながら武装部隊の攻撃から逃れる。

 担がれたポタコンも顔面直前で銃弾がすれていくため、もうすぐ意識が飛びそうだった。だが相変わらず尾崎の生きる力にびっくりさせられる。

 もし尾崎がいなければ、僕は死んでいただろう、と。

 「ひ、ひぃ! こっち銃なんて持ってねぇンだぞ! ズリィぞあの野郎!!」