コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: トランスミッション・データフローム ( No.257 )
- 日時: 2011/05/07 12:29
- 名前: ハッチしゃn (ID: X96rB3AK)
#05
尾崎浩太は廊下の角の奥へと隠れていた。
明かりがなく、日差しの朝日しか照らされないホテル内は、窓の形が口を開けるように影が伸びていた。お陰で、ちょうど尾崎の所だけは死角のため影がある。逆に黒ずくめの武装部隊が通るであろう廊下は、眩しいくらいに朝日に照らされているのだ。
もう準備は万端だった。あとは、黒ずくめの武装部隊が来れば戦闘開始だ。
だが、尾崎は両手で抱えて持っている機関銃に目を配りながら、そこで異変に気付いた。
いつまで経っても黒ずくめの武装部隊がこない。
ロンドン観光ホテルに踏み込んできた黒ずくめの連中は、すでに尾崎の位置を七階の中だと確認しているはずだ。それほど強そうな武器を持っていない事くらいは分かっているだろう。銃器と装甲服で身を固めた集団が、わざわざ尾崎に対してじっとしている訳がない。それも、尾崎捕獲こそが、任務のはずだからだ。
(どういう状況だ? あいつ等、無線で俺に捕まえに行くって言ってたのに)
安易に動くのは危険だという心と、早く動かないとチャンスを失うかもしれないという心が交錯する。
「……、」
さらにそのまま三十秒が経過した。
目立った物音は何もなく、ただ、朝日の日光から照らされる影が縮んでいくだけだ。
息を殺し、目を瞑って、時を待つ。
そして突然、倒れている武装部隊員のヘルメットの無線から、ノイズが走った。
『いきなりで悪いな。“君”の居場所は把握した。よってこれから、全隊員で君を鎮圧する』
それを聞いた尾崎は、即座にガバッと、いうように廊下へと振り向き、機関銃を真ん中へ照準した。だが、またも尾崎の行動と伴い、連続二回目の無線からの伝達が来た。
『おっと、もう一つ忘れていた。すまないね。『D—0711』ももうそっちに到着していたか。どうだ、素晴らしいだろう? 我が軍初の迎撃対用の“ロボット”だ。もう逃げてもどうにもならん。ちょうど今、春山様から“捕獲”ではなく、“抹消”を命じられたのでな。グッチャグチャの肉の塊になっていいようだぞ? しょーねン』
その尾崎の目の前には、自身の身長の三倍くらいはあるであろう、人型のロボット兵器が、ガトリングをこちらに向けて佇んでいた。