コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: トランスミッション・データフローム ( No.259 )
- 日時: 2011/05/07 13:46
- 名前: ハッチしゃn (ID: X96rB3AK)
#06
目の前に立ちはだかる鉄と鋼の金工で作られた巨大なロボットは、尾崎と同じようにガトリングを尾崎の胸元へと照準すると、撃つ構えをする。その関節が動く音が鳴るたびに、耳鳴りの様な響きが耳につく。
とっさに手に持っている機関銃では歯が立たないと判断した尾崎は、冷や汗を鼻の先まで零しながら、隣の通路へと飛び出した。
そして着地して即座に、飛び出して正解だったと気付く。
ちょうど尾崎が“いた”場所に、 『D—0711』と呼ばれるロボットのガトリング弾が、間髪いれずに発射されたのだ。それも一発ではない。『ガトリング』だ。ボタンを押す限り、弾が尽きるまでずっと瞬発で撃ち続ける代物だ。
尾崎がいた場所である床は、何十発もの弾を撃ち続けられた事で、穴だらけになり、下の階まで筒抜けになっていた。
もしも、尾崎が隣の通路に身を投げ出していなければ、死んでいただろう。
しかし、まだ『D—0711』は標的を狙い続ける。今度は尾崎が今いる、二列目の通路へガトリングを照準し始めた。
「って、死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬってマジッ!!!!」
尾崎はそう叫び続けながら、撃たれないような場所を見つけるために走り出す。
だが、目の前には武装部隊の二人が走っている尾崎に向かって機関銃を構える。尾崎も容赦はしない。同等に持っている機関銃を構えて、すぐさま引き金を引いた。
パパパパパパパッッ、と、乱射に近い素人の撃ち方で、撃ち続ける。
無駄に弾を消費しようが、消費しまいがどっちでもいい。今は目の前にいる二人を倒して活路を見出すしかない。だが、撃ち続けたせいで巻き起こる煙幕が、尾崎と武装部隊員の二人を包み込む。
(や、ヤバッ! 撃ち過ぎたか!? 何も見えねェぇぇッ!!)
その時、尾崎は足に何かがつまずいて、前倒しに倒れる。顔面が床に当たり、衝撃が全身に走る。
「くっ……っは!」
息が乱れる。心拍数が上がる。心臓の音が体全身に響く。
すぐまたあの武装部隊員二人が追いかけてくると思いだすと、尾崎は震えながら両手を床に着き、力を入れて起き上らせる。
その時だった。
無謀にも『D—0711』が二列目の通路へ現れたのだ。ガトリングを構えるときに鳴る関節の音が響き、尾崎が『おしまいだっ!』と思った瞬間に、ガトリングが乱射した。
起き上がろうとした身体を床に伏せ、頭を手で囲んで弾に当たらないように身を伏せ続ける。
キュィィィン、と音と共に、乱射は収まり、視界にまたもや幕煙が起こる。
幸運だ。まさしくこれが奇跡だ。
撃たれたのは尾崎ではなく、味方であるはずの武装部隊員二人だった。それも尾崎の目の前に立ちはだかっていた者だ。おかげで、一旦もう一度作戦が考えられる。
尾崎はロボットに向き直ってこう言った。
「あぁ、すげぇ感謝するぜ。これでてめぇらの逆転の一歩を手に入れられるかもしれねェんだからな」