コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ざけんじゃねぇ!! ( No.4 )
- 日時: 2010/07/30 18:12
- 名前: ハッチしゃn (ID: ymYDaoPE)
俺はその声に気付かなくてずーっと眺めていた。
・・・気付かないといっても、どうせ皆の方から聞こえた声だろうと思っていたから。
そんな思いを胸に置きながら、自分に来られた言葉ではない、と否定した。
「むー、 君に聞いてるんだよ? ・・・・・あ・そ・ぼぉーーーーーーー!?」
ところが、もう否定できるほどの音量ではなくなったので、俺の体はその声に驚き、地面
へとブランコから転んだ。
声のした方に向き直ってよーく見てから、『なにするんだよっいたいょ』と言うつもりだったが、見ている時に女の子とは気付かなくて少し唖然としていた。
「・・・・なに黙ってんのよ? 遊ぼうってさっきから言ってるじゃん」
と両手を腰につけて、俺を見下ろす。
俺は他人に話しかけられたことなど、昔の俺がいた幼稚園では珍しかったから黙ってその女の子、坂条 奈津美をずーっと見ることしかできなかった。
なんでこっちを見てるの? 今、君が僕の事を呼んだの? なんで? 僕なんていつもいじめられて、お母さんにも怒られて、欲しい物を言ったらすぐに叩かれて、幼稚園の先生
にも、僕は何もしていないのに女の子に触れただけで怒るのに。
そんなに僕って気持ち悪いのかな? いっそのこと来ないでよ。
君としゃべっていたら、また僕、怒られちゃうじゃないか。
もう嫌だよほっぺたを叩かれるのも嫌だし、痛いし、肌が黒くなって、お母さんに心配かけちゃうし、もしかしたらお母さんからも叩かれるかもしれない。
もう、嫌だ・・・。
おれは、気がつけば涙が流れている事を知った。
嫌だったんだその時の俺は。何もかも。
自分に能力がなくて、レベルも1だから、強さでも勝てなくて・・・・そんな事を今まで溜めて来たから、我慢していた涙がすぐに溢れてしまった。
「・・・・な、なんで泣いてるのよ? あ、あたしなんかしたの!?」
あわてて見下ろす態勢を崩し、しゃがんでおれの顔の前まで来た。
眉を顰めて、ブランコから落ちた時に付いた砂を払ってくれた。
「・・・大丈夫? これでいいでしょ? ・・・男の子は、すぐに泣いちゃいけないんだよ?」
そんなこと言われたって、・・・・涙が止まらないんだから仕方ないじゃないか。
流さないように留めても、それがもっと悪化して、急激に出てくるんだから。
俺は、とにかく反応に応えるべく、頷いた。
「そう、ならよかった」
奈津美が俺を引っ張って、ほっぺたをギュッと両手で押さえて、笑った。
俺もいつの間にか、笑ってて、奈津美の笑顔が好きなんだってことを初めて知ったのもその時だった。
が・・・。
あんなやさしかった奈津美も今はこんなに犯罪者に近い行動を行っている。
俺だって最初は驚きだった。
まさか奈津美がレベル8の風属性だなんて思ってもいなっかった事だったから。
駄目だ、やっぱり暑い。地面のコンクリートもすごく暑くなっていて、鉄板のよう。
俺たちはゆっくりと、ぎこちない感覚で登校して行く。