コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 言ってやるよ!ざけんじゃねぇ!ってなぁ!(登場人物描いてます ( No.67 )
- 日時: 2010/08/14 18:22
- 名前: ハッチしゃn (ID: ymYDaoPE)
第十一話「この世界の真実」
「わかった・・・とりあえず、行こう。もうそろそろ夜になる。今のうちに」
奈津美が額を抑えて立ち上がると、俺を見て言った。
「ありがとう。記憶通りに行くから迷うかもしれないけど?」
全然構わないので、頷いた。
「ふー・・・じゃ、行きますか。」
奈津美はそう言うと、土手を登っていく、俺もそれに続いた。
イギリス(ロンドン)—————
「ふう・・・少しは気温が変わると思ったが、景色以外は何も変わらんなぁ日本と。」
「いいんですかぁ? 研究施設には誰も配備させないままロンドンに来て・・・。もし侵入者がいたら、我々の隠された真実が表社会にも出向きますよ?」
研究員は目の前にいる”春山”にそう告げる。
告げられた内容は疎かにできないものと考えなければいけないというのに、なんとも思っていない感情が読み取れる。
「かまわん。それにあそこは『ロシア成教』から生み出した、魔獣・デスブラットドラゴンの紋章を組み込んでおいたからな。レベル8並みの力がなければ、魔獣は倒れん。」
「もう黒魔術を研究しているのですか? 迷信ですよ。そんなものはありません。」
春山はそこにいた研究員に嘲笑いをあげる。不気味な顔で、冒涜するような目つき。
「くくくっ! これだから科学はつまらん。 科学には限界があるのだよ。レベル8以上が現れないのもその”限界”があるからだ!・・・・だが、魔術に至って、生贄があれば”限界”など関係ない。きみは、私に付いていく気はなくなったのかな?」
「・・・あ、当たり前です。そんなことができるなら、ちゃんと証明して下さい!」
研究員が言い放った直後に、その研究員の体は地面にドラゴンとローマ語で埋め尽くされた紋章へと引きずり込まれた。
それを見送った春山は、耳の横を掻くとまたもや笑い上げる。
「まぁ・・・君はそう言うと思ってたからね〜、そのドラゴンの生贄なんだけど、君だったんだね〜。ふっふっふ。・・・・さて、ローマ聖教会はどこだったかな?」
地図を取り出し、春山は山の中からローマ聖教会へと歩き出した。彼はまた一つの企みを抱いている、と春山の右隣にいた無言の研究員、竹中は思った。
日本・実体実験能力生態厳重保管施設——————
「よかった・・・あったわ」
息切れがする・・・。あれからかなり歩いた。腕時計を見ると、PM7:00ジャスト。
つまり4時間も歩いたことになる。だがそれでも不安の気持ちが高ぶるのは、本来の真実がここに待ち構えているからなのかもしれない。
見た目的には、普通の小さい病院とも思える施設だ。
だがその実態は見損ねない。
奈津美が入口を発見したのか、こちらに手を振っている。その通りに奈津美の場所まで行くと、扉には暗号ロックが掛かっていた。
「くそ・・・メンドクサイことこの上無いぜ」
俺があぐらをかいて座ろうとするが、奈津美は冷静だった。やはり知っているのか?
「お前、暗号知ってんのか?」
「うん。記憶通りにやれば、これで・・・」
と共に、音が鳴り、ロックが解除された。
扉を開け、中に入っていく。
特に何の変哲もないロビーだ。扉を閉めると、自動的に周りの電気がつき、少々あわてる。
「ば、ばれた?」
「ううん。たぶん自動よ・・・そんなことよりも、やっぱ研究施設定番と言えば、『地下室』よね。」
と奈津美は言うと、そそくさと奥へと進んでいく。ステーションに似た窓口のテーブルに山ほどの紙が盛り上がっている。中身も気になるが、読んでいる暇はない。
奥へと進んでいると、行き止まりのように壁が立ちふさがる。もちろんやはりその隣には、地下行きの階段があった。
その階段を下りて行くと、扉がある。扉には
「VAN実験体厳重保管室・・・? VANって私たちの体に流れてるエネルギーのことよね?」
全く知らないが、それを使いすぎるとばてるとかは聞いたことがある。
「あ、ああ。」
頷くと、奈津美は扉を開けた。
「っ!?」
「な・・・」
・・・・俺と奈津美の目の前には、たくさんの試験管が覆った。
数えきれない・・・・。無数の試験管が並んでいる。その隙間から奥を覗いても、試験管、試験管、試験管、試験管の繰り返し。縦にも横にも続いている。
でも・・・それならまだよかった。まだ・・・。
「・・・ねぇ・・・嘘でしょ!? なんで・・・私の体が・・・・なんで私が試験管の中に入っているの!? あ、ぁぁあ!それに・・・隣は・・・真奈美・・・ッ! 横は・・・・先生ッ・・・!」
運悪く、いや悪いのかどうかは本人次第だが、すぐ目の前の一本の試験管の中には、坂条 奈津美の分身が入っていた。その隣には、妹と、国語の先生、その隣には・・・・俺の体が入っていた。
この無数の試験管の中に・・・街中の人たちの体が入っているのだろうか・・・?
俺は・・・・震える両手を握りしめても、震えは止まらなかった。