コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 言ってやるよ!ざけんじゃねぇ!ってなぁ!(登場人物描いてます ( No.70 )
- 日時: 2010/08/15 02:29
- 名前: ハッチしゃn (ID: ymYDaoPE)
第十二話「真実の行き止まりはない。だから、進む」1/2
俺は・・・この状況をどう表現すればいいのだろう。表現の仕方は分かっている。でも・・・この衝撃が俺の思考回路を停止させる。
「なんで・・・? これが真実なの・・・? うぁぁっ・・・こんなの嘘よ・・・もし本当だったとしたって、だったら今ここにいる私の存在はなんなのよ?」
俺に問いかけているのか、誰に問いかけているのか、奈津美は混乱に陥っている。どうすることもできない。
でも分かることは・・・この試験管の中に入っている体こそが、『本物』だということだろう。
その証拠なんてない。この頭ん中の記憶だって、この本体の記憶に『能力』という存在を植え付けられたんだ。証拠と呼べる記憶もない。だが、この施設のどこかに『データ』があれば、・・・。
人類がいつ革命して行ったのか、いや、強制革命されて行ったのか分かるはず。
たくさんの試験管を通って行くと、コンピュータがたくさん並び、そこの無数のコードが試験管へとつながっている。これがデータかもしれない。
コンピューターへと立ち寄ると、奈津美も泣いて赤くはれた顔を気にもせず近寄ってきた。・・・今は話しかけない方がいいよな。
コンピューターの電源を入れると、年歴が現れる。現在の年(2020年)から・・・。下までロールしていくと、最下年は20010年まで。その頃に、俺達は『能力』を持つ体へと異動したんだ・・・。
それもきめ細かく、年代ごとに異動された人達の名前がある。検索マスに俺の名前を打てば、出てくるのだろうか?
手が震えるが、ゆっくりと「尾崎 浩太」と打つ。
すると、画面のクロールは2015年のとこに止まった。よく見れば、「尾崎浩太、能力生命態へと異動」と書かれていた。俺が、10歳の頃だ。・・・・なんつう話だよ。
もう俺はなにも考えることはできない。ただただ目の前が揺らんでいく。・・・だれか、助けてくれ・・・。
「ちょっと! 私にも貸して!」
とキーボードを勢いよく奪われ、やっと気が正気に戻る。・・・ダメだ。こんなんじゃ。これが真実なら、ありのままを受け入れるしかねぇ!
奈津美も即座に自分の名前を打ち、サイトを開く。
奈津美は2011年に止まった。かなり早い。俺よりも先に異動されたという事か。
だが・・・俺からの目線からでは細かくて見えないが、奈津美には奥が深いものがあったのかもしれない。その場から目線も動くことはない。
ちょっと寄りかかってみると、そこには「坂条奈津美、高レベルのVANエネルギーを注入し、瀕死状態までの確認を取った。だが無事にレベル8という大きな勲章を勝ち取った。」と述べられているが・・・。
「ふっざけんじゃねぇよ!!何が勲章だよ! 9歳の子供にそんなあぶねぇ実験して、死んだらどうすんだよ!ちくしょぉ!」
「死んだら処理されてる。わたしの・・・前に一回その実験されている子いる。『スラナス』って・・・書いてるけど、耐えきれなかったのね・・・。」
奈津美の履歴の横を見ていくと、レベル8だった人達は皆、その実験を行っている。そのレベル8は、イコールによって殺害されているが・・・。
奈津美は笑い、泣き崩れ・・・俺は・・・もう何も思えない・・・。でも・・・俺達には、何かしなければいけないのかもしれない・・・。これ以上の何かが。これを表に発表しても・・・ただの世界恐慌が起こるだけで、あとは何も残るものは無くなるだろう。
「だったら・・・俺達は、この実験者の春山に合わないといけない。・・・・坂条、俺達はこの真実を持って戦わなくてはいけないんだと思うんだ。戦わなくてはいけないんじゃない。そうしなければ、この世界が終ってしまう。世界を救うために戦わなくてはいけない。絶対このままじゃ、この世界にいる子供たちや、ここにいる俺達の本体もみんな亡くなる。今・・・なにか考えなくちゃいけねぇんだと思う!」
「うるさいっ!・・・分かってる。分かってるから・・・今は少し、考えさせて。こんなモルモットの如く使われた私たちが、なにかしなくてはいけないなんて元から分かってる。ほんとう、・・・・ッーー」
ああ、分かってる。奈津美が何を言いたいか、こんな糞みたいな真似を人間にさせて、言わせてもらうのはこんな言葉だけだろうが!・・・・本当に!!−−ッ
「ざけんじゃねぇッ!!」「ざけんじゃないわよッッ!!」
俺らの春山に思う感情は一緒だった。
二人の声は、この施設を響かせた。
物語の第一幕は、そろそろエンドへと向かう。