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Re: てめぇら!掛かってこいよ!ゴラァッ!(登場人物描いてます ( No.72 )
日時: 2010/08/15 13:28
名前: ハッチしゃn (ID: ymYDaoPE)

第十二話「真実の行き止まりはない。だから進む」


無言の空間が広がる。一体無数の試験管の前で何を想えばいいのだろう。

何も思わなくていいのかもしれない。

こんな腐ったやり方で、怒りをどこにぶつければいいのか。震える両手を誰にぶっ放せばいいのか。

そんなの、ただの自己欺瞞なのかもしれないけど、それでも、こんなの認めたくない。・・・認めてたまるか。
「認めたくねェけど、けど・・・・こんなのあんまりだ。変な感覚・・・なんでこんなひどいことするんだよ。ひどいのかわかんねぇけど、でもそんな偽りな気持ちで生きたい人間なんてだれもいねぇよ。」

「・・・そうよね。あたし、レベル8とか実績何だと思ってた。でもそれも偽りの記憶だった。だったら今までのあたしの努力はなんだったのよ」

ここはダメだ。ここにいると悲しくて、痛くて、それに対して、こんな危険なことをなんとも思わないで実行した”春山”なんて許せるわけが・・・。

俺がうつむいていると、奈津美は真っ直ぐな視線で、言った。
「・・・春山 二郎か。いいわ。バンク端末からこいつの過去を調べてみる。もう悔いてるのはもったいないわ。・・・ポリス・スタデントとして、こいつを捕まえる。・・・まずはそれが最優先執行よ。」

おおー。なんだーこいつの正義感あふれる言葉はー。

と、俺もちゃんと考えないとな。
「でも最優先執行っつったって政府があいつと関わってるんじゃ、無理だろ。政府を盗られたのがもう負けだよな。・・・もしかして、ここに警備とか配備してねぇのってバレテもなにも出来ないってわかってるからか?」

「そうだったとしても、ねちこくて汚らしい人間には変わらないわ。それに、とにかくそいつの捕獲、が優先でしょ。・・・私はレベル8よ?それくらいの権利は持ってる。」

そう言うと、奈津美は俺の目の前を通って、出口へと進んだ。コンピューターを見ると、電源が既に切れていた。
「ま、待てって」
「さっさと帰るわよ。」

俺らは階段を上り、そのまま廊下を真っ直ぐ出口へと歩いた。

「それにしても・・・この場所じゃ怪しい研究されても気付かないわ。普通の研究所にしか見えないものね。・・・・?」

奈津美が歩いていると、突然とまり、俺とぶつかった。

「・・・なんだ・・?」
「いや、私って、風の波長が体内から流れててね、そしたらあんたのもっと奥の方の後ろに・・・強い力を感じるんだけど・・・」

俺らは、一緒に振り返るとそこには・・・。ああ。見たことある〜アニメとかでよく見るドラゴン見たいなモンスターだ・・・。

「こ、こんばんわ・・・?」「なに挨拶してんのよッ!?」

ボケたら、奈津美に一発片手を突っ込まれる。
影で目の所が、めっちゃ赤色に光ってる・・・。一言言っておこう・・・どうやってここに入ったの?いや、つうかなんなんだこれ?!グラフィックか?

「俺、はじめて見たかも・・・こういうの」
指を指すと、ドラゴンがピクッと顔を動かす。か、かわいい☆

「おお、こいつ反応が・・・☆」
「☆じゃないでしょ!? たぶんこの研究所で作られた生物兵器みたいな物よ!・・・ッ!?」

「キュァァァァアアアアアアアアァァ!!」

俺らの鼓膜が揺れる。・・・なんちゅう声で鳴くんだこいつぅ!男子にとっては昔から憧れるモンスターは一度は拝見してみたいと夢だったが、こんなんじゃ、、、死ぬ。

「ちょっと来て。・・・あんたは下がって。」

奈津美に言われたとおり、出口へと壁へ寄りかかる。俺の目の前に奈津美が立ったが・・・一体なにをするつもりなんだ?

「あんたさ、脳震盪って知ってる?気絶させることなんだけど・・・風をアイツの鼓膜で反響させると、脳の脊髄が一時的に停止して、脳震盪みたいになるのよ。そこであんたの出番。あいつをそのまま消せばいいのッッ!」

と、奈津美は風を直行させ、ドラゴンの頭部に巻き起こす。ドラゴンは頭を左右に振り、その振動が床を揺らし、足場が震える。

「・・・・ッ」

そしていつの間にかドラゴンは意識が途絶えたのか、気絶したように倒れた。
振動も治まり、俺はまっすぐドラゴンに立ち寄り、ものすごい大きさでどこを触ればいいのか分からなくなったが、首を抑え、消し去ろうとした時だ。

・・・ポタコンが、今いない・・・。

消し去ることができない。・・・くそ、ポタコン叩き起こして一緒に連れてくるべきだった・・・!!

あーあ・・・日曜日だからって甘く見ていたな。はは。

「ちょっと何してんのよ!早く消しなさいっつの!」
「あー・・・奈津美さん。今、能力使えないや・・・。」

「は?」

なにも言えねぇ・・・。どうしよ!?ガチマジどうしよ!?(汗)
奈津美の怒りの形相が想像できる。今 振り返ったらどうなることか・・・。

ん・・・?ちょっと待てよ。遠距離からでも接続はできるはず!
「109247#**PQ!」

(う〜? あれ、あ、浩太か。勝手に接続しないでよ〜寝てたのに。)
お前、今 何時だと思ってやがる!?

まぁ、そこはおいといて、「一発で終わるから力貸せ」
(おーけいー。)

再び、ドラゴンの首を両手で掴み、そのまま『無』へと感情を入れる。施設内での爆風が沸き起こる。
俺が掴んだドラゴンは徐々に白い灰へと変わり、下半身から砕けて行った。

「はぁ・・・はぁ・・・」
振り返ると、奈津美は背を向けていた。




ゆっくりと奈津美は振り返ると、笑顔で俺を見た。
「さ、帰ろう。私たちの街へ。・・・尾崎!」

なんか心がくすぐったくなったが、・・・ま、いいか、

「お、おう。・・・帰る、か。」
俺は立ち上がり、奈津美と一緒に出口を出た。そのまま道路を歩き、改めて研究施設を見ると、何の変哲もない施設も、邪悪な施設としか見えなくなった。

「そうだよな。俺らの物語はここからだもんな」

俺は小声で自分だけに聞こえるように言ったんだが、奈津美にも聞こえたのか、振り返った。

「ん? 何?」

いや、声が聞こえただけか。

「・・・なんでもない」

奈津美は「そう」というと、再び俺と歩き出した。


俺達はこの真実がすべてではないと思う。

だから・・・さらなる真実を求めるために、先に進もうと思う。


第一章 エンド


次回 第二章 まずはここからが本当の始まり。