コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: ざけんじゃねぇ!ざけんじゃないわよ!(コメントください ( No.88 )
日時: 2010/08/22 10:55
名前: ハッチしゃn (ID: ymYDaoPE)

第14話


 「はぁ?」
 あいさつしてまだ時間もたっていない初対面相手に、それも女王という称号を持っている彼女に、イコールはさもつまらなそうに言った。なお、女王顔は表情を何一つ変えていない。先ほどから同じ顔立ち。まるで、イコールへと向いているが、その視点は別の方向にあるような瞳だった。

 「意味が分かりませんか? 常識的に考えて、私に御用があるならば、それくらいの覚悟で来てもらわないと困ります。」

 イコールは女王に睨みつける。イコールにとって彼女は、”邪魔”としか思えない。さらに、こんな奴と交渉なんてしてられるかと。その感情は、だれしもが分かるようにオーラが漂っていた。

 「困る? てめぇがどんな身分かしらねぇけど、殴るぜ? てめぇ、今までの合ってきた中で、一番、『ムカツク』んだよッッ!」
 それは隣にいるミールが一番注意していたことだった。ここに入る前にあれほど忠告をしておいた。感情に飲み込まれるなと。『なんで? ちょっと待ってイコール! 君じゃ女王には勝てない! ううん・・・ここにいる騎士にだって負けるよ!!』と想いをぶつけるために、イコールの右腕を力強く引っ張る。絶対にしてはいけない領域へと入ろうとしているイコールを、怒りの形相で止める。それを見たイコールは、少々荒したという気持ちで、ミールに従った。

 「・・・すまねぇ・・・」
 「ふぅ〜・・・いいよ。・・・女王様、先ほどのご無礼、申し訳ありませんでした!」

 と、ミールは声を震わせ、謝礼を何度もする。それを見かねた女王は一礼し、先ほどのことはどうも思っていないのか、また同じ言葉を繰り返した。
 「どうです? 一度だけでいいです。貴方達の能力を見させてくれれば、それだけで交渉に移れるのですが?」

 二人にはもう従うしかなかった。ミールにとってはそちらが安心できて、胸を撫で下ろしていたが、イコールは未だに感情が歪んでいる。それはそうであろう。彼は、春山意外に、初めて”命令”に”従った”のだから。力を持つ者として、それは彼のプライドが削られたほどだった。

 (くそ・・・面倒くせぇ。こいつら全員あとで殺す!)それこそが、危険と安全の一定を保っていた。
 そこで、二人の前に先ほど呼ばれた『ジョセリナ・ラミナ・ラーナ』が立った。満面な笑みを浮かべ、いかにも”弱い者”を見るような瞳で、二人交互に彼女は見詰めた。

 「くくくっ・・・ねぇ女王様〜、本気だしちゃダメなの?」
 女王はジョセリナのその問いに間を開け「ええ、駄目。」と言った。
 「ちぇ〜ざんね〜〜ん☆」
 と、ジョセリナは剣を取り出しながら、舌で刃先を前後に舐めあげた。その光景にイコールとミールは気味悪い気持ちになる。まるで侮辱するような目つき、行動・・・そしてなによりも、女王にタメ口をしている事が異常であろう。そこは女王が指摘していないので特に気になっただけだが。

 「んじゃ、始めようか? スターット」
 と、剣をこちらに構え、前に突進してきた。それを見た二人は、(こっちの間は考えないのか!)と同じ気持ちだった。ジョセリナは突進すると、イコールの目の前で笑みをまたし、そして上空へと飛び上がった。

 「まぁ、私の本気出さなくても、君たちは負けると思うけど、ネェぇえぇぇッッ!!」

 と、イコールの後ろから剣を上へと振り上げた。ちなみに、そこまでの移動瞬間は、人の目では追い付けない速さだったため、イコールは、ジョセリナが後ろに回ってきてから気配を感じ取った。さて、これが反射的に通用するかどうか。

 「ッッッ!!?」と、天使達を背後に強制急性増殖させ、無理やりにでも盾を作り上げる。天使の一つ一つが集合して出来上がった時だ、刃先が盾に突き刺さり、轟音と言っても言い大きな音が、室内で響きあがる。

 「ひゅーっ・・・やるねぇ・・・でもそんな盾じゃ、私にはただの木の板一枚としか変わんないよ?」
 と、ジョセリナはイコールが作り上げた盾を真っ二つに切りあげる。その隙にイコールはその場から離れ、体制を整える。ちなみに、先ほどの行動文章は、時間で表わすと、10秒とあまり変わらない瞬間にできたものだ。

 「はぁ・・・はぁ・・・」
 「なぁにぃ〜? もう息切れ〜? ちょっと馬鹿な事してないでよ、私これじゃ別の意味で肩凝っちゃうんだけど・・・。」

 イコールを目の前にして、ジョセリナはあくびをする。今に至って、イコールはやっと緊迫感が伝わってきた。油断すれば、負ける事に。先ほどの威勢はどうしたものかと騎士たちは見ているが、女王のすぐ両サイドにいる、男と女は目を瞑っている。だが、寝てるわけでもないようだ。すると、ジョセリナが言った。

 「どこ向いてんの? 君さ、騎士と戦うときはその相手しか見ちゃいけないんだよ? なんだよ日本の武士でもそういう戦い方だったから、期待してたんだけど、君の戦い方、なっちゃいないよ。まるで自分を守るためだけに戦ってきた方法しか、君は知らないんだね。ダッサww」

 ジョセリナは誠なことを言っていたが、最後で最後の言葉に、侮辱する。だが彼女は言っていることは、的を当てている。なぜならイコールは本当にそうやって戦って来たにしか過ぎないのだから。本人がそれを一番知っているであろう。だが・・・それを他人に言われる事だけは、許せない。その思いでイコールはジョセリナを睨みつける。

 「別に睨んだっていいよ? 私は本当の事言っただけだもの。ひたすら”卵に引き籠ってた”お前と、私を一緒になんかされたくないんだからさ!!」

 と、目を大きく開かせ、ジョセリナは剣を前に突き出し、イコールめがけて走る。だがそれは、めがけているイコールも同じ事。彼も目を大きく開かせ、両腕を彼女にかまえて、突進してくるのを待ち構えていたのだ。突進してきたジョセリナに向かって、天使を百体作りあげ、そのうちの五十体を両手に剣へと変換させる。

 「はっ! 同じ武器でも、私のとあんたは質が違うの! そのまま消えろやぁぁぁぁああああッッ!!」

 その後、ジョセリナの剣は見事にイコールの剣を切断したが、それは罠だった。イコール特有の騙し。百体の内の五十体は、剣として消費させたが、残りの五十体はそのままジョセリナの剣にへと集合し、突然の質量の変形により、剣はもげたのだった。


 「っへ・・・てめぇの負けだ」
 「お、おまえ・・・・!!」

 ジョセリナの言い終わった直後に、腹に一発片手でみぞおちを喰らわせる。当然ジョセリナは倒れ、そのまま床に這いつくばる形で着いた。それは本当の勝利だったのだろうか? いやまず、この戦いは何だったのだろうか? と、ミールは考えていた。




 やがて時間が経てば、ジョセリナは修道服を着たシスターに医務室へと運び込まれその場からいなくなり、騎士の者はやがて室内からいなくなり、残るはイコールとミール、そして女王が豪華な黄金の縦細長いテーブル席にと座っていた。


 そこからが交渉の始まりだった。