コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ざけんじゃねぇッ!(ミール&イーコル編 ( No.97 )
- 日時: 2010/08/22 18:59
- 名前: ハッチしゃn (ID: ymYDaoPE)
第15話
イコールとミールは、先ほどの事がまったくの面影がなくなっている事に疑う。現在、あの大聖堂から出てから、15分。路上の上を歩き、いくつもいくつもの建物が横を過ぎていく。
「これで一応、一段回任務遂行・・・だけど。二段回の任務はどうなるのか分からないから、宿寄らないとにょん・・・」
路上の上を二人は歩いている。その影は、夕影となって伸びていた。その影は、ひとつだけ止まる。その影の持ち主はイコールだった。
「? どうしたにょん」
納得がいかない。それだけじゃない。(こんなことなら、なんでいちいちここまで来たんだよ)の気持ちそのものが正しい。それが抑えられなくて、もう一度イコールはミールに話しかける。その周りには、ロンドンの会社員たちが帰宅として歩いている。
「こんなことなら、来なくてよかったんじゃねぇか?」
ミールはその問いに振り迎える。彼女の瞳はまっすぐだった。
「これは上層部からの任務だったんだよ? こんなことも、これからもっとあるよ。」
だがやはり疑問を抱くイコール。”なぜ俺がその組織に入らなければいけなかったのか?”と。
「未だに思うんだけどよ、なんで俺が入んなきゃいけなかったんだ? 日本まで離して、これから何があるっつうんだよ。その組織の親玉にも合わせてもらえねぇしな」
ミールは黙った。それは彼女も同じだったからだ。面識があっても、”従う”以外の事は言われなかった。でも、それでもそれで食べていけるのだったら、と、今まで従ってきただけなのだから。
「わからない・・・。でも、この組織でしか、私の居場所はないから、従ってきただけだから。だから・・・詳しくは知らない。にょん」
イコールはため息を漏らす。ただの居場所を見つけるだけで、犬になる奴と一緒にいたと感じたからだ。居場所くらい、自分で見つければいい。それが自分の居場所だというのに、・・・。
「お前、馬鹿か? こんな組織に入って、居場所だと? こんなの居場所じゃねぇだろうが!」
イコールは街中で怒号を放った。街中にいたロンドンの人々が、そこから逃げるように去っていく。それでもイコールは怒る。こんなのはありえねぇのと、昔の自分と同じ事をしている奴が目の前にいるからだ。
「てめぇの居場所だぁ? やめろよそういうのは。居場所くらい、自分で決めてから言え。居場所なんてな、自分の居心地が良いって思えばそれでいいんだよ。だがお前の場合、”拾ってくれたから”ここが良い。のようにしか聞こえねぇ・・・。そんなんじゃいつまでたってもガキのままだ。」
ミールは、そのままうつむく。当たり前だが、彼女にも激怒という感情はある。何も知らない奴に否定された事。何も知らない奴に過去を笑われた事
。この二点だけは、感情を抑えきれなかった。彼女は手を強く握り、冷汗をかいた顔を歪ませ、口を開いた。
「なにも・・・分からないくせに!あのドブの生活をした事も、見た事もないくせに! 私の居場所? 居心地が良かったらそこでいいんでしょ? だから私は、この組織が”居場所”! それに女王の騎士に決闘して、それでそのまま返されたから頭に来てるんだろうけどね、そんなんじゃガキだよ! あなたも十分ガキだよ! そこで頭に血が上ってどうすんの? 今ここでキレたのもそれが原因でしょ? 絶対そうだよ。断言できるよわたし。」
押しているのはイコールだと思った。だが押されていたのはイコールだったのだ。彼女は、イコールよりも過酷な人生を生きている。だからなのかもしれない。彼は、ミールの言葉に反論はできなかった。
「だいたいさ、 君だってこれからどうすればいいのか分からなくなったから、事件を起こしたんだよね?怖いから。レベル8という同系列の強者がいる事に怖かったから! それをふまえて、こちらの組織は動いたんだよ! それを仇として返さないでにょん!いい? これからそんなこと、言わないで・・・。」
ミールは泣いてしまった。彼女はまだ少女。その年ごろで怒号を放つというのは、刺激が強すぎたのだろう。
「・・・すまねぇ」
イコールは、ミールの肩に手を乗っけて謝った。その後は、離れる。ミールは涙をぬぐうと、ゆっくりと、頷いた。彼女にとって、必死の訴えだった。
ミールは、そのまま、前へと進むと、イコールへと振り返り、「宿、捜そうにょん。」と伝えた。その顔には、泣いて赤くはれた目があるが、それは彼にとって”罪”の証だ。・・・・ゆっくり頷いた。
「んじゃ、割り勘ね」
それには驚く、なにせイコールには金が少々しかない。
「いや、無理だぞ俺。金が・・・」
「駄目。今日の事にイラついたことを、反省しとくんだにょん! ふふ〜」
「ふざけんなお前、飛行機代どうすんだよ!」
「え・・・? 日本には帰らないよ? だって任務続行中だって言ったじゃん。 まだまだロンドンでやることはいっぱいあるにょん〜」
「・・・・・。」
イコールはそれから化石のように固まった。
つまり、彼も正式に組織の一員となった事だ。ここからがたくさんの事が二人に待ち受けている事だろう。
この二人の旅は、まだまだつづくそうだ。