コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- どうやら僕は異世界に来てしまったようです。 1-4 ( No.4 )
- 日時: 2010/07/31 21:38
- 名前: 村人A ◆UcTzrn55Fk (ID: mZiC8SdU)
どうやら僕は異世界に来てしまったようです。 1-4
「僕……なんでこんな所にいるのだろうか」
グルリと見回せば、そこはアスファルトで舗装された道路や、密集した住宅達といった人工的なものではなく、辺り一面無造作に生えた雑草と、大きく聳え立つ木々といった緑をベースとした色合いの空間で、まさしく自然あふれるこの場所は「森」と呼べるところだろう。
後ろを見返しても、そこは周りと変わらない風景で、先ほどまでいたバイト先のコンビニは消えていた。
——こ、これは夢なのだろうか?
お決まりの如く頬を抓るけど……うん、痛い。痛覚は正常に機能しているようだ。
というか、夢ならば、この暑さによって滲み出た汗が服にくっつく不快感は味わえないだろうし、なによりも、僕はさっきまで寝ていたわけではない。
だけど、一体何故僕はこんな森の中にいるのだろうか? さぁいざ自宅へ帰ろうとしたら森の中で……。
「そうだ、時間」
ふと、ズボンの後ろポケットから携帯電話を取り出して、ディスプレイに写る時刻を見る。
「時刻は……。ここに来る前と変わらない?」
ん、ちょっとまてよ。だ、だとしたら一瞬にしてこの場まで移動した事になってしまうじゃないか。
いや、そもそも僕は移動したのかが怪しい。周りが変化したのではないのか? はは、そんな魔法みたいに非現実的な事は……い、いやいや! だからこれは現実だ! 感覚もあるし、鼻につくこの緑の香りも現実。
「わ、わけがわからない」
まるで元から合っていないピースを組み合わせるように考えようにも考えれば考えるほどわからなくなってしまい、次第に焦りと不安が汗と一緒に滲み出るような感覚に襲われる。
「はぁ……」
やっぱりこれが現実だとしても、結果的に、僕が森にいるのは変わりない。てか、もし瞬間移動したとしたら、いつからそんなスキルを身につけたんだよ僕。そんな孫○空みたいな事できないよほんとに。
これはもしや、テレビアニメや漫画等でよくあるように、ある日突然異端な能力に目覚めた主人公みたいに僕も「瞬間移動」という能力に目覚めたのだろうか?
だとしたら……なんて地味な能力なんだよ! ビームが出せたり魔法が使えたり、はたまたどんな魔法も右手で打ち消せたり、いや、これはプラスαが厄介だからいらないか。まぁともかく、もっとカッコイイ能力が欲しいよ! 確かに瞬間移動があれば学校の登校とかなにかと移動手段には困らないだろうけどさ……これでも僕は純粋な夢見る青少年ですよ? ビームくらいだしたいさ。
「……って、こんな時に何を考えてるんだ僕は」
少しずれた事を考え、気づかぬうちに現実逃避をしていた僕は、今自分がするべき事を考える事にした。