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どうやら僕は異世界に来てしまったようです。 1-END ( No.5 )
日時: 2010/07/31 21:39
名前: 村人A ◆UcTzrn55Fk (ID: mZiC8SdU)

どうやら僕は異世界に来てしまったようです。 1-END


 このままこの場に止まっていても何も状況は変わらない。携帯電話の電波マークが一本も立っていないことから、家へと連絡もとれない状態だし……。それに、人に助けを求めようにもこんな人気のない場所で人と出会える確立なんて低いと思える。

森を抜けられれば携帯の電波が回復するかもしれないし、万が一電波が回復しなくても、森の外ならば人がいるだろう。

と、そこまで考えて、自分自身この状況によく落ち着いていられるなと思う。いや、実際にはパニックを起こしてはいるのだけど、あまりにも突然すぎる出来事に、現実味がなく、実感がもてていないのかもしれない。



「よし。そ〜う〜と〜決まれば」



僕は妙なリズムで鼻歌を歌いながら近くに落ちていた小枝を拾い上げた。

ああ、なんかテンション上がってきたぞ。確かに今の状況に不安は、そりゃもういっぱいあるけど、それと同時にこれから自宅への帰路に起きるであろう出来事に、興奮と期待をよせている自分がいるのも確かで。こう、小学生の頃、帰宅時にいつもとは違う、通った事のない道で帰る時のような感じに似ているのかもしれない。冒険心が久しぶりに蘇った感じだ。



僕は足で地面を平らにしてから、おもむろに手に持っている小枝を立てて、そして一言——。



「神よ! 我を甘くてエロエロの煩悩にまみれた楽園へ誘いたまえ!!」



ここは雰囲気作りという事で適当な御まじないをかけた後、ぱっと手を離すと、当然凸凹とした棒状の小枝は倒れるわけで、僕から見て左上へと倒れた。どうやらその方向に出口があるらしい。いや、すごく適当だけど、出口の方向がわからない今の状況、原始的かつ優柔不断の僕にとっては効率的な決め方だ。



「それじゃぁ気合を入れて、無限の彼方へさぁ行くぞー!!」



頭の隅に残っていた誰かのセリフを木々しか見えない前方に向かって叫び、僕は早速小枝が示した方向へと歩き出した。



【どうやら僕は異世界に来てしまったようです。 第一話 終】