コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 一瞬またたき。 ( No.25 )
日時: 2010/08/12 18:16
名前: 蒼莉 (ID: 3lsZJd9S)
参照: 気分転換

番外編!1!(なぜか時が飛ぶ。1年後。つまりこの話が終わったあと。なんで書いたのか分からない。たぶん早く終わらせたいんだと思う。…てころで、望Side。)




結んだリボンがするりとほどけ

「inori」という刺繍が俺の視界に入った。

ざわめきを一切感じさせない空間に

俺は古びたブラウンのイスに座り

ひとり、そこにいた。


やがてどこからか風が運んできた甘い甘い匂いが

俺の鼻腔を擽ると

心臓がドクンドクンと波をたて

見えない糸が俺を追い詰めているような

錯覚に陥る。

そしてその風が俺の心の側に寄り添うと

俺の視界の縁がどんどんとぼやけ

俺の視界の中心点がはっきりと窄められた。


「”——”…」


薄く柔らかいその唇が乾いているのを

感じた俺はペロリ、と唇を舐め

苦しげに愛おしげに出されたその名を

鼓膜の奥で聴いていた。






俺はあの罪を、

あいつに、許してもらうことができるのだろうか。



                 
              -番外編End-