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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 一瞬またたき。 ( No.38 )
- 日時: 2010/08/16 14:21
- 名前: 蒼莉 (ID: 3lsZJd9S)
- 参照: ごめんなさい、今日は一層文章力が……泣
15、
「——お姉さん、今日学校来たの?」
祈は俯き、薄汚れた廊下を視界に入れながら
俺にそう、呟くように尋ねると
顔をあげ、窓にうつる青い青い空を眺めた。
俺は歩く速度を変えずに、
チラチラと、
俺と隣で歩いている祈をみる外野達を
ギロ、と睨んだ。
「俺が家でたときはまだいたみたいだ。
授業の途中で来たんだろうな」
「…ふうん」
考えているような声音が隣から聞こえ、
俺は祈をチラッと横目でみた。
それと同時に、
スタスタと外野達が廊下を走っていく音が聞こえる。
祈は少し、青ざめながらそいつらを目で追った。
腕にかかる重みがなぜか心地よい。
何で今日は鞄がそんなに重いのだろう、
と指で鞄を擦ってみると、
何やら弁当箱の形と感触がした。
——ああ、今日弁当持ってきてたのか。
わざわざ購買で買ってしまった。
俺がどうでもいいことで悔やんでいると
隣にいる祈の視線が俺に向けられていることに
気づいた。
「……お姉さん、大丈夫だったの?」
疑うような、心配するような。
祈はそんな声で俺に答えを求めてくることが多い。
この声も、そうだ。
「……未遂のことか?
やっぱり海にいた。
あいつ、いつもあそこだから
すぐ見つけられたし」
ふと、頭のなかにあのときの光景が浮かんでくる。
岸辺のベンチに座り、
ぼー、と海を眺めていた夏月。
俺はあの姿を一度みたとき
あの姿が夏月か、疑いたくなった。
「…そう、……よかった。
お兄ちゃんも心配してたから」
祈の言葉を耳にいれたとたん、
俺の眉が寄る。
あいつが、心配?
してほしくもねぇ
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