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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 一瞬またたき。 ( No.42 )
- 日時: 2010/08/18 21:23
- 名前: 蒼莉 (ID: b1TZiT7s)
16、
埃の匂いが鼻につく、
学校の廊下を一歩でると
クーラーのおかげか、冷えていた俺の体に
容赦ない陽の光が襲う。
それが何故か心地よく感じて、
、でもやっぱり暑くて、
俺は目を細め、腕で日差しをカバーすると
俺に微笑みかける、真夏の太陽を
口角を微妙に吊り上げながら
睨みつけた。
「ふゆちゃん」
甘い声音が俺の耳を包む。
祈が隣にいる側の俺の肩が
妙に温かい気がして
俺はかすかに目を瞠った。
「…なんだ」
思ったよりも深い声がでた。
俺の声、もとい言葉は陽の光にそって
俺の遥か上に浮かぶ太陽に昇っていく。
それを俺は見届けると
隣で俺に視線をやる祈に顔を向けた。
祈は俺と目があうと、
ふわ、って花が咲くみたいに顔を崩して、
にこにこと笑った。
その瞬間、俺はこいつに惚れてるわけじゃねえのに
どくんどくん、と心臓が、
血液が、脈が、
動き、巡った。
「お兄ちゃんって、さ」
——なんだ、今の。
俺は自分の鼓動を抑えるために
胸の中心、やや左に手をおいた。
手に反応するように、鼓動は余計速くなって
俺は心の中で息を吐いた。
「お姉さんのこと、好きだよね」
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