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紫電スパイダー 番外編「Danceing spider」#1 ( No.69 )
日時: 2010/09/20 18:00
名前: 紅蓮の流星 ◆vcRbhehpKE (ID: Da9K.gCv)

___裏トゥルーズ店『ブラックローズ』。

「『紫電』?」
ノリの良いジャズがかかる店内、酒を飲む者達、酒に呑まれた者達、『ライアー』をたしなむ者達。
白いスーツを着込んだシルクハットの男は、いかにもアブなそうなゴツイ隻腕の男に訊き返す。
「ああ、こないだソイツに右腕を斬り落とされたんだよ」
そう言い、ゴツイ男は肘から先の無い右腕を見せる。
それを見るとシルクハットの男は一瞬目を丸くした後、ふ、と笑い視線を逸らす。
そしてからん、と音を立て、グラスに注がれたカクテルを少し飲む。
「お前さんともあろう男がそんな怪我を負わされるとはな。『岩猿』よ」
「お前も気をつけろよ、『ギャンブラー』。アイツは強いとかそういう次元じゃない。化け物だ。
 結局ヤツの得物の正体さえわからなかった」
岩猿はそう言うと、ぐいっとジョッキ一杯のビールを飲み干す。
「おい、もっと酒持ってこい!」
「・・・・・」
怒鳴る『岩猿』をよそに、『ギャンブラー』はカクテルを口に含み、飲み込み、呟く。
「・・・『紫電』、ねえ・・・」



その時、ぎい、と音を立て店の入り口の扉が開く。
店の者達の一部の視線が扉を開け入ってきた『彼』に。
「・・・いらっしゃいませ」
マスターはその男を一瞥する。
男はマスターの前まで行くと椅子に腰をかける。

「酔えるやつを頼む」

紫色の髪と眼、その男・・・籐堂紫苑は未成年の身でありながらもそう言った。