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- 紫電スパイダー 番外編「Danceing spider」#4 ( No.79 )
- 日時: 2010/10/03 13:53
- 名前: 紅蓮の流星 ◆vcRbhehpKE (ID: .RPx9Kok)
裏トゥルーズ店『ブラックローズ』。
『パンドラ』ほど広くはないが、裏トゥルーズの為のスペースがしっかり別室に設けられている。
無論観客席付きで。
だがそれにも拘らず、その場には紫苑と暗呪以外には誰もいなく閑散としていた。
別にバーの方にも戦闘の様子を映すモニターはあるので観客席に来る絶対的な必要性もないのだが、
通常は目の前で戦闘を見たい、と思うのが普通である。
無論興味が無ければ誰も見には来ないが、外野の賭けの参加者の多さからして興味が無い、はない。
ちなみに先程圧倒的な喧嘩をのんだくれ共に見せつけた紫苑と暗呪のBETは拮抗していた。
恐らく観衆にとっては注目の一戦であろうこの賭け。
紫苑はこの時点で暗呪の能力には何かあると判断した。
・・・そして、賭けの開始を告げる音が鳴り響く。
その音と同時に紫苑は暗呪に向かって駆ける。
そして蹴りを一閃。しかし暗呪はそれをかわす。
だが構わず紫苑は次の蹴りを繰り出す。暗呪はそれもかわし、
懐からナイフを取り出し紫苑に向かって一閃。
紫苑はそれをかわすが、暗呪は更に連撃を繰り出す。
やはり紫苑はこれをかわし掌底で暗呪のナイフを叩き落とす。
しかし暗呪は素早く次のナイフを十数本ほど取り出し、至近距離にも拘らず全て紫苑に投げつける。
だが紫苑はその全ての柄の部分を弾く。
ところが弾き終わった次の瞬間、暗呪が紫苑に向かって両手にナイフを持ち斬りかかる。
しかし紫苑はそれを上半身を逸らしてかわし、勢いで後ろにアクロバットをして距離をとる。
「・・・流石、やるねえ」
暗呪は言う。
「・・・ナイフの扱いに慣れているようだな」
紫苑は半身になり、構えをとりながら言う。
「だが、甘い」
そう言うと紫苑は先程の駆け引きの間に張り巡らせた鋼糸で暗呪を絡め取ろうとする。
「・・・BETは『腕』」
「!?」
暗呪が言うと、紫苑の腕は暗呪を絡み取る寸前、力無く動かなくなった。
「何をするつもりかは知らないが、何もさせないぜ」
暗呪は言う。
「これが俺の能力。『範囲内にいる誰か一人の、宣言した部位を使用不可にする』能力だ。
つまり体の一部を賭ける能力。たまにはこーんな刺激的な賭けも、悪くねぇだろう!?」
暗呪はそのトランプのジョーカーを模した仮面の下の表情が容易に想像できるほど嬉々とした調子で言う。
それを聞くと紫苑はククク、と嗤い、言う。
「面白い。その賭け、乗った」
これほど仮面の存在が無意味な勝負もないだろう。
二人の狂人が嗤っているのが、仮面を着けていてもわかるのだから。