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†。○*番外編*○。†


〜桜の恋〜


桜は自分の愛用のフルートを手に取りボーっと拭いていた。

近づく人影にも気付かづに……

「先輩……桜先輩、どうしたんですか?　いつにもまして元気ないじゃないですか」

「えっ!?……真白ちゃん」

桜は俯かしていた顔をパッと上げた。

そこに居たのは目が茶色く、肩まで伸びたウェーブのかかった黒髪を結んでいる、後輩の雪上真白だった。

真白は顔を綻ばし

「悩み事ですか?　相談乗りますよ」

と言いながら桜の傍の椅子に腰かけたのだった。

しかし、桜は顔を俯かせ切なげな表情をしたままだった。
その様子に真白はため息をつき

「言いたいことは言わなきゃ伝わらない……内に秘めているだけでも何も変わることはない、だったら……周りを少しぐらい頼っても良いと思います」

桜はその言葉にゆっくりと顔をあげる、その頬は涙で少し濡れていた。

「真白ちゃん……私もうどうしたらいいのか分からなくなっちゃった」

徐々に語りだす桜を真白は優しいまなざしで見つめていた。

桜は四月から今日までの事を話し終わり

「私が……変われればいいのに」

今にも消えそうな儚き声を呟いた。

そのことを聴いた真白は

「先輩の事を観ていてくれる人もいますよ……今はまだ気づくごとが出来ないかもしれませんが、何時か、何時かその大きな存在に救われ、少しの幸せかもしれませんが掴めるはずです、それを掴むかは先輩……貴方次第ですが」

意味深な言葉を告げた真白は元の練習位置に戻りトランペットを吹き始めていた、その綺麗で純粋な音は桜の耳に、心を癒していくようだった。



…続く