コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 叶わぬ恋…してもいいですか?      *オリキャラ募集中* ( No.316 )
日時: 2010/12/25 22:50
名前: ナナ ◆JUP8K6dM0U (ID: Tj9sX3SJ)


 †。○*番外編*○。†


〜桜の恋〜



その日の部活はボーっとしたままの桜を置いてって終ってしまった。
音楽室はもぬけの殻となり、窓から見える外の景色は綺麗な夕焼けぞらだった。

不意に音楽室の外から音がして桜は我にかえる。
当たりを見回せば誰もいなく歯を食いしばる。

『学校は学校に過ぎない、クラスの人も部活の人も変わらない、私は……誰に必要とされているの?』

心の中で自分に問いかける……答えが返って来ないのを分かりながらも……


フルートをケースに入れ、立ちあがる。
歩き出せば桜の足音とスクバのキーホルダーの揺れている音が廊下に寂しく響き渡っていた。

音楽室の鍵を返しに職員室のドアを開けようと駆け寄った時だった。

「今日、一緒にかえらない?」

今にも消えそうなその声を桜は聞き逃さなかった。

振り返ってみればそこに居たのは

「……黒澤君? ですよね」

桜と同じクラスの黒澤信時だった。


その言葉には答えなかった。

「先に鍵返してきなよ、待ってるから」

「うん」

桜は疑問を持っていたがそれよりも初めて男子生徒に話しかけられた驚きの方が大きかったようだった。

「鍵返しました」

そう早口で言い足早に職員室から去って行ったのだった。

昇降口に信時は待っていた。

「ご、ごめんなさい……待ちましたよね」

上手く話せず敬語になってしまう。

「同級生なんだしため口でいいよ」

優しい口調だった。
桜は思わずその顔を見とれてしまった。

「何かついてた?」

信時は桜の視線に気が付いたようで桜に顔を近づけながら聞く。

「つ、つ、ついてません……あっ、じゃなくてついてないよ」

目をつぶりながら叫ぶ桜を見た信時は一瞬ポカンとした顔になり

「やっぱり桜、面白いな」

信時はプハッと堪えていた笑い声をあげた。

「そ、そんなに変だった!?」

慌てながら聞く桜をよそに信時は笑い続けていた。それにつられて桜も笑い出すのだった。

そして桜は先ほどの言葉に疑問を持つ

『やっぱり桜、面白いな』
『桜』って呼ばれた、たまたまだよね、クラスメイトだし……それとも……

桜は目の前で眩しい顔をしている信時を見る。
この淡いフワフワとした感情は……何?



…続く