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Re: 叶わぬ恋……してもいいですか? ( No.327 )
日時: 2011/01/03 17:51
名前: 羅希(元ナナ) ◆JUP8K6dM0U (ID: Tj9sX3SJ)


 
 34話



「眠いなぁ……でも後一週間だから頑張らなきゃね」

「もちろん、目指すは売上学年一番だもん」

今日も光が丘高校を覗いてみればそんな絶え間ない会話が聞こえてくる。文化祭まで後一週間……どの学年、クラスも最後の追い込みと言った様子だ。

そして聞こえた会話は琴音と梨湖のものだった。テキパキと動きながらも楽しそうに準備している。

「あっ!! 忘れてたぁ……どうしよう」

琴音がハッとしたように小さく声を上げた。相当困っているらしく今までの作業を中断させ、あたふたしている。

「……琴音? どうかした?」

琴音の顔の前に笑顔で梨湖が顔を出す。

「ひゃぁっ!! な、何でもないよ、大丈夫だから」

琴音は少しだけ微笑みながら言う。誤魔化せたのかどうかは分からなかったが梨湖はすぐに自分の持ち場へと戻りまた違う話を話しだすのだった。



どうにか誤魔化し、今日の作業を終えた琴音は昇降口へと一人で向かう。何故か梨湖は用事があるからと言って何処かへ行ってしまったのだ。
琴音は上履きを脱いで靴に履き替え、外に出ようとした時だった

「……自分から用事があるって言っといて無視はないだろ」

この声は……?

「夢理!? 何で居るの?」

琴音は急いでいたため困惑そうな顔色を浮かべる。

「何でってお前……梨湖から『琴音が夢理に相談があるから昇降口で待っててあげてって』って言われたんだけど……なんも無いなら帰るけど」

夢理は大きなあくびをし、目に少し涙をためながら言う。

琴音は心の中で思う……梨湖が異変に気づいて夢理に私から相談があるって言ってくれたんだ。
だったらその行為に感謝しなきゃ。

「あ、あのね……お、お洋服を捜して欲しいの『男物』のなんだけど」

琴音はこのことでずっと悩んでいたのだった。琴音は姉妹すらいないため男物の服が分からないのだった。
琴音は顔を俯かせながら夢理の反応を待つ。

「……んだよ、そんな事かよ……ほら、行くぞ」

琴音の手をグイッと引っ張る大きな手……
琴音は少しだけ顔を上げその手を振り払うことなく、その大きな背中の後をついて行く。

空は琴音のほっぺのように茜色に染まって行くのだった。




…続く