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Re: 叶わぬ恋……してもいいですか? ( No.328 )
日時: 2011/01/03 17:52
名前: 羅希(元ナナ) ◆JUP8K6dM0U (ID: Tj9sX3SJ)



 35話



この花月市の中で一番大きな通りへと夢理と琴音は向かっていた。
そこは流行商品が多く並んでいる、なのでここに来れば何でも手に入る。

「……えっと、どんなお店の洋服がオススメ?」

高校からここに来るまで10分ほどかかったが今までずっと何も話さないでいたのだ。途中で小学生にちゃかされたりしたため、気まずかったのだ。

「…………もう少し」

話を繋げようにも話題を出しても夢理の一言で終ってしまう。琴音はどうしようと困っていた。その心配をよそに夢理は琴音の手をひき、あるお店の前で立ち止まり入って行く。

「ここで良い……?」

夢理はドアを開き、琴音を中へ入れて行く。
入った瞬間に広がるのは心が落ち着くようなさわやかな、それでいて少し甘い様な香りが広がる。

「……男の子ってこういう服屋さんに来てるんだぁ!!」

琴音は夢理の言葉に答えず、お店に見とれてしまっている。

「別に普通じゃないか……」

夢理は相変わらずしゃべらない。そのことに琴音は疑問を抱き、理由を考える、そして思いついたのだった。

「夢理、怒ってるでしょ? でも何で?」

琴音は夢理の前に立ち首を少し傾げながら聞く。瞳は少し不安そうでうろたえている。

「違う……相談してくれなかったじゃん、俺は相談したのに……もっと頼ってくれたっていいのに」

夢理は怒ったような寂しそうな小声で言う。

「えっ? なんだ、そんなことだったの……」

琴音は余りにも意外な事実を聴ききょとんとしたように声を漏らす。

「なっ!! そんな事じゃねぇよ……頼って欲しかったんだよ」

夢理は先ほどよりも大きな声で怒ったように琴音に言う。琴音に言った後は顔を琴音ではなく、店にかかっている服へと視線を向ける。

「そっか……ごめんね、夢理は私に相談してくれたのに……これからはもっと、もっと頼っていいかな?」

琴音は顔を赤くして微笑みながら夢理の答えを待つ。

「……わ、分かったから、それ以上笑うな……俺がもたない」

夢理は照れくさそうに琴音を見れずに言う。

「ありがとう……もたないって?」

琴音は意味が分からないらしくまたもや、キラキラと輝くような笑顔で言う。

「だ、だからその笑顔だよ」

夢理は顔が真っ赤にしながら言う。

「へ……? そう言うことだったの!!」

琴音も恥ずかしそうに顔を俯かせる。

「もう時間ないからさっさと選ぶぞ」

夢理はまた琴音の腕をぐっと掴み、お店の奥へと向かって行った。

「どんなのが良いかなぁ」

琴音と夢理は楽しそうに服を選びだすのだった……これが初デートだとは今は気付かないのだった。





……続く