コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 叶わぬ恋……してもいいですか? ( No.337 )
- 日時: 2011/01/08 18:01
- 名前: 羅希 ◆JUP8K6dM0U (ID: PBJobJTc)
36話
「……良かったぁ、服が見つかって」
薄暗闇の花月市を琴音と夢理は仲良く肩を並べて歩いていた。琴音の服も無事に選び終わり、今は花月通りを歩いて帰るところだ。
「だいぶ寒くなってきたな……」
夢理がそんな事を言う。確かに十一月としては肌寒く、手が少し赤くなる。夢理はチラリと琴音の手を見る。制服の袖から少しだけ赤い手が出ている。
「うん、もう冬に近づいてるもんね……私たちの学校の文化祭って遅いよね」
琴音が右手で左手をさすりながらフット息を漏らす。琴音はまた手を袖の中に戻す、そんな琴音の手を夢理が優しく包み込む。
「片手しか暖めてやれないけど、この方が良いだろ」
夢理が顔を少し制服に埋め微笑しながら言う。夢理に握られた琴音の右手は少しずつ、じんわりと温かくなっていった。
「ありがとう、ねえねえ……あそこのファミレス入らない? 暖かい飲み物が飲みたいんだけど……ダメかな?」
夢理は少し迷った様に顔を空に向け琴音に聴く
「良いけど……やっぱ寒い?」
少し困った様に琴音に向き直る。歩いているうちにさっきまで遠くにあったファミレスの傍まで来ていた。
「ち、違うの……ただ、その、よく考えたらこれが初デートだったから……もうちょっと一緒に居たいなって」
琴音の顔は寒さと恥ずかしさで寄り一層赤みがつよくなっていく。夢理は少し間を開けてから応える。
「そっか……初デートだったのか、気付かなかった……せっかくだし行くか!!」
夢理は少し申し訳なさそうな顔をして苦笑いする。そして琴音の手をひいて店に向かって行こうとする。
「……気にしないでね、今日楽しかったもん」
琴音はニコリと笑う服屋で見せた笑顔とはまたどこか違う……周りがほんわかと温まる。琴音らしい笑顔だった。
そして次の瞬間にはより一層、琴音も夢理も温かかった……と言うより熱かった。
何故って……? それは夢理が琴音の手を自分の元へと優しく引っ張り、抱きしめていたから。琴音はびっくりしたような顔をし、手もあたふたしていたが夢理の体温を感じると共に、夢理の背へと手をまわしていた。しばらくの間、二人の影はそのまま動かなかった……
……続く