コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 叶わぬ恋……してもいいですか? ( No.339 )
日時: 2011/03/11 21:48
名前: 羅希 ◆JUP8K6dM0U (ID: Qouiw0Af)


 38話



「本当に大丈夫? ……夢理」

琴音は心配そうな顔で夢理を見る。ポテトを間食し終わり、ファミレスから出てきたところだった。しかし、真正面にいる夢理は外なのに頬がにわかにだが赤かった。

「あぁ……大丈夫だ」

夢理は片手を軽く上げ琴音の問いかけに応える。しかし、琴音の顔に視線を合わせず俯いたままだった。琴音はその様子に気が付き困ったように眉を下げる。

「じゃあ、何で? 何でさっきから顔合わせてくれないの?」

琴音は不服そうに、声のトーンをいつもより下げて聞く。そしていじけた様に地面の石を軽く蹴る。

「それは……気分がフワフワしてたとは言え、あんな事しちゃったし」

夢理は照れたように、冷え切った右手で顔面を抑える。どうやらあの赤かった顔は“照れ”だったようだ。

「……もしかして酔い覚めた?」

琴音は気づいたように、少し戸惑いながらも聞く。二人はいつしか歩みを止めていた。

「覚めた。 だからこんなふうになってるんだろ」

夢理は気が抜けたように、しかし何故か短いため息を吐く。そして吹っ切れたように背伸びをする。琴音はその様子に安心したように表情を、目を綻ばせた。

「なぁんだ……つまんないの。 甘々の夢理、可愛かったのにぃ」

語尾を少し伸ばしながら琴音はチラリと夢理の反応を待つ。その表情は悪戯っぽさが残っていた。

「なんだよ。 いつもの俺は嫌なのかよ」

夢理はいじけたのか少しショックだったのか、声色を弱くする。そして琴音を置いてすたすたと歩き出してしまう。琴音は夢理に聞こえない程度にクスッと笑い後ろから、いつもより大きい声で叫ぶ。

「嘘だよ!! 甘々も好きだけど……いつもの、いつもの夢理が一番“好き”」

そう叫んだ琴音の頬はさっきの夢理よりも顔が赤かった。その言葉を聴いた夢理はピタリと止まり、顔だけを少し振り向かせる。

「あっそ」

素っ気ないその一言は他の人にとったら冷たいと感じるかも知れない。だが、琴音にとっては夢理らしいと感じると共にその言葉からいくつもの感情を読み取っていた。それはもちろん……


——夢理もきっと琴音が好きだという気持ちでさえも——


……続く