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Re: 叶わぬ恋……してもいいですか? ( No.348 )
日時: 2011/03/12 18:38
名前: 羅希 ◆JUP8K6dM0U (ID: Qouiw0Af)

 

 39話


次の日の朝、琴音はいつも通りに学校に登校した。とは言っても文化祭まであと六日にまで迫ってきているため、七時に登校したのだが……
今は教室へと向かう一階の廊下を足取りを少し重くしながら歩いていた。

「……うぅん、この服私に合うかな?」

琴音は軽くため息をつきながら、両手で抱えている白い袋に入っている中身を見つめ、足を止める。そこには昨日、夢理と一緒買った服が綺麗にたたまれて入っていた。すると後ろから軽くトンッと押され、前に倒れ込みそうになる。

「おっはよ琴音!! その袋はなぁに?」

声の正体、行動からしてやはり梨湖だった。琴音が倒れそうになっているのを素早く右手で抱き起した。

「おっはよ……じゃないでしょ、危ないでしょ!!」

梨湖に抱き起こされた琴音は少し顔をひきつらせ、梨湖に詰め寄る。梨湖は慌てながら両手でまぁまぁと琴音を慰める。

「ご、ごめんって……悪気はなかったの、驚かせようと思っただけで」

梨湖は少し反省した様子を見せる。琴音は少し表情を和らげ、仕方がないといった様子になる。

「もうしないでよ……かなり驚いたんだから」

梨湖はその言葉に微笑み、軽く頷く。そして嬉しそうに琴音の横に並び、教室へと歩き始めた。

「だいぶ進んだよね、早く文化祭の日が来ないかなぁ」

梨湖は寄り一層ニコニコさせながら軽やかに教室へと向かう階段を駆け上がる。そんな梨湖を琴音は後ろからゆっくりと追いかける。階段の途中の踊り場の壁に目をやると、色々な学年のお店紹介の紙などが張り巡らされ、琴音は文化祭が近付いてきているのをじんわりと実感した。

「もうすぐじゃん!! あと六日、ベストを尽くせるように頑張ろ」

琴音が梨湖に駆け寄りながら少し大きく、活気ある声で答える。梨湖はその言葉にくるりと振り返り、微笑む。梨湖の長い髪がふわりと宙を舞い、自分の身体を包み込む。琴音には梨湖の甘い香りに鼻をくすぐられてた。

「うん!! そうだね。 早く教室に行って準備始めよ」

梨湖は真直ぐに伸びた廊下を髪をなびかせながら走って行った。そして自分の教室の前へ行き、琴音を大声で呼ぶ。

「琴音!! 早く早く!!」

梨湖の大きな、笑顔の問いかけに琴音も笑顔で答える。

「今行くよ」

琴音は廊下を颯爽と走り、梨湖の近くまで行くと二人して微笑み教室へと入って行った。教室の中からは楽しそうな、それでいて騒がしさが溢れかえっていた。眩しい輝きがそこにはあった。



……続く