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　16話


琴音はまだ眠いと思いながらも目をあける。
窓が目に入ってくる、真っ赤な夕陽が目にしみそうだ。
寝たことで気分が少し晴れ渡った琴音はハッと思いだす。

「……中野目君のお見舞い行かなきゃ。」

急遽そんな事を思い出しクローゼットから少し可愛い服を引っ張り出し駆け足で病院へと向かった。

今日もまた息を切らしながら病院内に入って行った。

階段も駆け上がり３０７号室の前で一瞬立ち止まり意を決してドアを開く。

「中野目君……まだ起きてないんだ。」

そこには昨日と変わらぬ様子で夢理が寝ていた。

琴音は夢理の傍まで行き椅子に座る。


ただ、ただ手を握っているだけだった……


—そして早く起きてと願っていた—


想いを伝えたいから。


それだけでも想いが伝わると信じていた。


そんな琴音に奇跡が起こる……


「……誰？　つーか体中痛ぇ。」

夢理が目を開けたり閉じたりしながら聞いてきた。

琴音はあまりの嬉しさと驚きに声も出ずにただ涙が一粒頬をつたっただけだった。

そんな琴音の滴を夢理は手を伸ばしぬぐってくれる。

「泣くなよ琴音。俺は大丈夫だから。」

そう言い少し微笑んで見せた。

琴音は嬉しさのあまり自分が名前で呼ばれた事にも気付かずに笑っていた。


この瞬間—たとえ一瞬でも幸せを感じられた—


そして琴音はより一層実感する。


—私、鈴乃宮琴音は中野目夢理に恋をしています—


…続く


今日の更新少なくてごめんなさい((+_+))
明日も更新しようと思うんで許して下さい(>_<)

次回は病室内で事件がおきますっ＼(◎o◎)／！