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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Episode 5.5 運命と未来 ( No.122 )
- 日時: 2010/10/10 09:05
- 名前: むーみん ◆LhGj6bqtQA (ID: 20F5x0q3)
Episode 5.5 運命と未来
「いいか、お前は俺の跡を継ぐんだ」
「ええ、分かっています。充分に。だからもういいですか? つか眠いから寝せろ」
「親に向かってその言葉遣いはやめなさい! 何度言ったら分かるんだ!」
「はいはい、お休みなさい。父上」
俺は軽く舌打ちをして、糞親父のいる無駄に広く、息苦しい部屋を後にした。
だから、嫌なんだ。
親父はいつもいつも、俺に向かって家を継げと言う。
一人息子ということもあり、俺は常に「名家、クレメントの跡取り」ということを意識して生活させられてきた。
性に合わない言葉遣いをさせられ、礼儀作法も、全て親に注意される。やりたくもない勉強を無理やりさせられる。
俺なんかよりもっといい人がいるだろう。なんで俺なんかがこんな家を継がなきゃいけないんだ?
毎日、俺には広すぎる部屋に置かれたベットにもぐってそんなことばかり考えていた。
普通の家に生まれたかったと、心から思う。
家出してやろうと思ったことは数えきれないくらいあるし、事実家出したこともある。
しかし、どれも親に見つかり失敗に終わった。
あいつに会うまでは——
そいつはたまたま街に出た時に出会った。剣士と名乗るくせにやけにオーラがなく、馴れ馴れしい奴。
だが、そいつに出会ったことで、俺の運命は確実に変わったのだろう。
過去も、生まれた家庭も変えられない。
でも、未来はきっと変えられる。
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