コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Episode 01 今までお世話になりました。 ( No.15 )
日時: 2010/08/11 10:19
名前: むーみん ◆LhGj6bqtQA (ID: 2.GeU6Nm)



決して広くはなく、豪華でもない。
しかし、きちんと二つあるベット、小さいが浴槽もある。きれいに整頓されて、一晩泊るには申し分ないだろう。
やっと見つけた宿屋の一室に俺とレオはいた。
……それとなく、気まずい雰囲気が二人の間に流れている。
この空気に耐えられなくなった俺は、ベットに寝転がり読書をしているらしいレオに声をかけた。

「なー、これからどうすんの?」

「ずっと宿屋探してんのもあれだしな。明日には出るぞ」

「…明日はどこに泊まるんだよ」

「そのうち決める」

レオは本を読みながら淡々と俺の質問に答えている。
この流れで、一番聞きたかったことを、思い切って聞くことにした。

「そもそも、なんでレオは家出したの?」

「家嫌いだから」

「どこ住んでたの?」

「お前と会った街の近くだよ。それ以上聞くな」

やっぱり、レオは何かを抱えているのではないだろうか。
始めて会ったときも、直感的に感じた。
…まぁいいか!

「お前の名前聞いて思ったんだけど。父親、アルトリート・レイだろ?」

すると、唐突にレオが言った。

「うん」

「そんなすげー奴親に持って、お前こそなんで家出したんだよ」

「うわー、それ聞かないで。へこむから」

「…そーか。んじゃ聞かねーよ」

「いつか、言えたら言う」

レオは「んじゃ、寝る」とだけ言って、ベットにもぐりこんだ。
レオのことはまだまだよくわからないが、お互い思い出したくない過去があるのだ。
過去の話はしない。二人の間での、暗黙のルールとなっていた。

時計はいつの間にか11時を回り、空には月が奇麗に光っている。
俺も電気を消し、眠りにつくことにした。