コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

 Episode 02 とりあえず、泊めてください。 ( No.35 )
日時: 2010/08/18 22:00
名前: むーみん ◆LhGj6bqtQA (ID: 20F5x0q3)



「こちらへどーぞ。片付いてないけれど気にしない
で」

「あ、どーも」

さっき会ったばかりの少女、エルナに案内されたどおり道を進むと、山の入り口にある小さな家にたどり着いた。
家というよりは小屋と呼んだほうがいいような小さな建物。
しかし中に入ると外見に比べ、結構きれいに片付いている。
俺たちは今テーブルを囲んでそこにいた。

なんつーか、展開はやくね?

「一人暮らし?」

俺はエルナにそう言った。

「まさか。外におばちゃんがいるわ」

「家族は?」

そう質問すると、エルナは少しうつむいたように思えた。
そして一呼吸おき、顔をあげると言った。


「あたしねー、ちっちゃい頃の記憶ないの」


「……はい?」

「んー、詳しいことはあたしもわからないんだけど。なんせ記憶ないからね」

いきなりの衝撃の告白に変な空気が流れている。
急に記憶ないとか言われてもだなー……。

そんな変な空気のなか、扉が開きエルナが言っていたおばちゃんだと思われる人物が現れた。

「あーれ、お客さん? しかも男の子じゃないっ!」

「あ、こちらがおばちゃんの ヴィトラ・カラさん。おばちゃん、この人たちさっき街で会って、旅してるんだって。あっと…そういえば名前聞いてなかったわね」

「俺アルトリート・ロカ。ロカでいいよ」

「俺、レオ」

カラさんが、ずっとこっち見ている気がする。
すっごい怖いんだけど! 俺なんかしたっけ?

「で、エルナの彼氏はどっちなの?」

そう言ったのはカラさんだ。
……はい? 彼氏?

「さっき会ったばかりだって言ってるでしょう? んーどっちかっていえばメガネじゃないほうね」

「彼氏じゃねぇよっ!」
「なんでメガネじゃないほうなんだよっ!」

俺とレオはほぼ同時に、全力でツッこんだ。
レオのツッコミは少し違う気がする。
というか、ここまで嫌われてるとかわいそうにすらなってくるのだが。

「なんだー、エルナが男紹介しに来たのかと思ってびっくりしちゃった」

「で、今日行くとこないからうちで泊めてって」

「そういうこと。2階の部屋あいてるはずだから使っちゃって!」

「お世話にないます」


いきなり来て受け入れてくれるなんて……、カラさんも気さくな人だと思った。
俺らはとりあえず2階に荷物を持っていくことにし、階段を上っている。

「なぁ、ロカ?」

「ん? なんだよ」



「俺の顔ってそんなにタイヤ?」


こいつっ……本気で悩んでやがるっっ!!