コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Episode 03 仕事でもさがそうか。 ( No.48 )
- 日時: 2010/08/27 18:10
- 名前: むーみん ◆LhGj6bqtQA (ID: 20F5x0q3)
「でっけぇー……」
でかい。かなりでかい。
もともとこの街には豪華ででかい建物が多いのだが、目の前にある建物も例外ではなく……というか他の建物よりでかく豪華であった。
ここが紙にあった『エルベッセ財閥』。
——めっちゃ金の匂いがするぞっっ!
「たのもーう!」
その時、エルナが先陣を切って大きな門をゴンゴンとたたいた。
しかし、中から人が出てくる気配はない。少し待っていると声のみ俺らの耳へと届いた。
「どなたですか?」
「あのー、なんか募集の紙見たんですけどー」
「募集?」
「えーと、だからそのー……ねー、ロカ。なんでここ来たんだっけ」
うん、やっぱりエルナには無理だった。
結局、こういうのは俺の役回りだ。
しかしもう流石に慣れたので、ツッこまない。落ちつけ、俺。
「あの、街で紙見つけて……なんか見張り募集的なのです」
「あれならば、ついさっき3名決まりました。つまりもう募集はしておりません、帰っていただけますか」
その言葉にレオとエルナが頭に来るのは間違いない。
案の定、レオは顔の筋肉をピクピク動かし、笑っている。一方エルナはすぐ門の向こう側の相手に啖呵を切った。
「はぁぁああ? 何よついさっきって! ふざけんじゃないわよ、出てこい!」
「俺らの仕事とった奴出てこいよ、こうなったら正々堂々やろうじゃねーかっ」
「だいたい、もうちょっと早く来てればよかったのよ!」
いやいや、それは君らが南はどっちかで喧嘩してたせいだから。
「開けろよ!」
二人が周りから変な目で見られながらやかましく騒いでいるその時、門の向こうから「はぁ、了解しました」と小さくつぶやいた声が聞こえたかと思うと、門がゆっくりと開いた。
「ん?」
今まで門に閉ざされ、見えなかったその先には、花や木々でいっぱいの手入れの行きとどいた広い庭、細やかな装飾が施された大きなく立派な建物がそびえていた。
そして、目の前に紳士らしき人物と、一人の少女がいた。
どうやらさっきから俺らが話していたのはこの人らしい。
少女が自分で持っていた紙にペンを走らせ、それを隣にいる紳士的な人に見せるとその人は口を開いた。
「この仕事に6名も必要ありません。もしどうしてもやりたい、と言うことであれば……
3番勝負でもしていただきましょうか。
……と申しております」
うん、まぁその女の子が持ってる紙見れば分かるんだけどね。
3番勝負ね、3番……3番勝負——!?
「偶然にもどちらも3人ですしね。1対1で簡単なゲームでも、という訳でございます」
「何それ?」
するとまた少女が例のごとくペンを走らせている。
きっと話すことができないのだろう。
そして俺らに向けて突き出した文字を読むと、『おもしろいじゃないですか』と書いてある。
無責任なっっ!
「おもしろいじゃないですか……と申しております」
うん、だから俺ら文字読めるからね?