コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Episode 01 今までお世話になりました。 ( No.8 )
日時: 2010/08/10 09:10
名前: むーみん ◆LhGj6bqtQA (ID: 2.GeU6Nm)

→Episode 01 今までお世話になりました。


もう限界だっ!
 
確かに俺は落ちこぼれかもしれない。でももう耐えられない。
……今日、俺は家出を決意した。
そして乱雑な文字の書かれた紙を食卓に置くと、荷物をまとめ、家を出る。
その紙にはこう書き記した。

『今までお世話になりました。でももう限界です。ってことでさようなら! 探さないでください。』





とはいえ、家出するにも一人では心細い。
そもそも行くあてなどないため、重い荷物を引きずりながらも、中心街に出ることにした。
…とりあえず、だれか仲間が欲しい。
しかし、みんな忙しそうに働いていたり、カップルが手を繋いで歩いていたり、親子連れや友達同士が店に出入りしたり……、だれも俺と同じ種類の人間なんていないようだった。

「んー今日は宿屋にでも泊まるか……」

日が暮れ始めた。西の空は赤く光っている。
俺は今日の宿さがしに目的を変え、直感を頼りに歩くことにいた。
風が冷たく吹いている。

ぶらぶら歩いていたその時、後ろから木の枝が動く乾いた音がした。さっきからどうも後ろに気配を感じる。
怪しく思った俺は反射的に手を左腰にある剣に置き、振り返った。

「…!?」

「…なになに、普通初対面の人に向かって剣抜くか? 俺、怪しい人じゃねーよ」

少し長い黒髪に、白い肌。そして、無造作にかけられた黒ぶちのメガネ。長身の男が俺の前に立っていた。
もちろん、その顔に見覚えなどない。

「んじゃ、誰なんだお前! びっくりしたじゃんか!」

「いや、大きい荷物持って歩いてるから、何してんだろうなと思って」

「え、お前こそ。そんな大きい荷物持って、どうしたの?」


夕日は、まだ山の間から赤く光を放っている。