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HAPPY BIRTHDAY☆ANJU and MASIRO ( No.654 )
日時: 2010/11/17 00:00
名前: 友桃 ◆NsLg9LxcnY (ID: vDb5uiaj)
参照: 杏樹って名前がすごくなつかしい……ww


* * * BIRTHDAY SHORT STORY * * *


「——風也っ! 今日が何の日だか知ってますか!?」

 だんだんと肌寒くなり冬の兆しが見えてきたある日の昼休み、私と恵玲は彼のいる3組に駆け込んでいった。1番後ろの席に座って机の上を片付けていた風也は、突然現れた私達2人を見て不審げに短い眉をひそめた。

「……今なんつった?」
「今日は何の日ですか?って聞いたのです!」
「ちなみに今日は11月17日だよぉ」

 恵玲がにこっと笑って彼を見る。まるではかったかのように、その桃色のほっぺにえくぼが浮かんだ。
 少しの間小さく首をかしげていた風也は、不意に「あぁ」と呟き顔を上げてこちらを見た。

「そ—いや今日、杏樹と真白の誕生日だな」
「あたりですーっ」

 私は笑顔全開で飛び跳ねる。
 今日は、クラスは違うものの、高校で出会って今では大の仲良しの友達の誕生日なのだ。彼が言い当ててくれて、うれしくないわけがない。

「てことで」

 恵玲が風也の腕を引く。

「早く屋上行こっ。2人より先に行かなくちゃ!」
「屋上……? ……って、あぁ、そういうことか」

 こちらの意図を察してくれた彼は快く頷いて立ち上がり、私達3人は急いで教室を後にした。





 屋上ではすでに、学校で普段行動を共にしている津波が待機している。そしていつもご飯を食べている場所には、臨時で作ったテーブルもどきの小さな台が。そこにはケーキが入っていると思われる白い箱と、それを囲むように様々なお菓子が並べてある。
 それを見た瞬間、私と恵玲は一気に頬を紅潮させた。

「すごいです! ちっちゃいパーティーなのです!」

 思わず胸の前で手を組んでそう叫ぶ。
 とりあえず台の前に足を流して座ると、風也も隣で胡坐をかいて楽しそうに言った。

「てかここでケーキを食おうっていうのも、なかなか無謀なことするよなー」
「雨が降らなくてほんとに良かったよねぇ」

 恵玲がそう言い、空を仰ぐ。雲ひとつない、青の絵の具で塗りつぶしたような快晴。見ているだけで気持ちがいい。心が澄んでいくようだ。
 彼女は口元に柔らかい微笑みを浮かべながら、ふと視線を落として津波に尋ねる。

「それにしてもこの台、どうやって作ったのぉ?」

 座るとちょうどいい高さだ。
 聞きつつ恵玲は、色々な角度から台を観察して不思議そうに大きな黒瞳を瞬く。そしてそれを覆っている布をひょいっと持ち上げて、目を丸くした。津波がニッと笑う。彼女のショートカットの茶髪は、日に照らされやや金色がかって見える。

「教科書積んだの」
「すげぇ即席……!」

 笑い混じりに、風也が声を上げた。その反応に、津波はさらに得意げに笑った。
 2人の表情を見てつられ笑いをしていた私は、それでもさっきからある物をじ〜っと真剣に見つめていた。それはつまり……

 ケーキの箱である。

 今は白い壁に阻まれているため、中身が全く見えないのだ。恵玲もそろ〜っと手を伸ばして、中をのぞこうとしている。
 それに気付いた風也が、見かねたように苦笑いをもらした。

「そろそろ開けといてもいいんじゃねぇの? 主役も来るころだし」
「ですよね!」
「だよね!?」

 私と恵玲はかみつくような勢いで同時に叫び、早速箱の解体に取り掛かった。もちろんそれには津波も飛び入り参加をして、あっという間に解体作業が終わり——……

 私達は目を輝かせた。

「チョコレートケーキです……!!」
「すごい! おいしそぉっ」

 それを完全に傍観する位置にいる風也は、呆れたような顔でぼそっと呟く。

「……お前ら買った時に1回見てんじゃねぇのかよ……」

 そこで私は、あることを思い出してパンっと手を打った。不思議そうな顔でこちらを見る3人には構わずに、慌ててバッグの中からある物を取り出す。出てきたのは小さなタッパ。ふたを開けると、中から少しだけ甘い香りが漏れてくる。

「クッキー作ってきたんですけど、置き場所あります?」
「おぉっ、さすがあーちゃん!」

 身を乗り出してそう言った津波は、すぐにテーブル(もどき)の上のお菓子をつめてくれた。そこに1枚紙皿を敷いて、タッパの中身を移すと、私は携帯で時間を確認して入口の方を振り返る。

「そろそろですね」

 何気なくそう呟いた直後。

 重々しい金属音を立てて、屋上の扉が開かれた。皆が一斉にそちらに注目する。
 まず、扉の奥からクラスメートの美久と静音が姿を現した。昼休みが始まってから準備のための10分間、今日の主役を教室で足止めしてくれていた2人である。

 そして、その後ろには——……



「杏樹〜!! 真白ちゃーん!!」



 私は満面の笑みで、扉の向こうから姿を現した2人を出迎えた。



「お誕生日おめでとうですーっ!!」



 そう叫んだ瞬間、複数のクラッカーの音が空いっぱいに響き渡った——



 * * * * * * *


そるとさん、真白ちゃん、お誕生日おめでとうございます!!!www
これからもよろしくお願いしますねーwww

by友桃



P.S 名前に関しては「杏樹」の方が現実にいそうなので(笑)、そちらにさせていただきました^^
あと、真白ちゃんの年齢が違うのはスルーしてくださいww←
てかどうしても真白ちゃんから「ちゃん」がはずせない私……^^;